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市街化調整区域とは

市街化区域と何が違うのか、農地や土地の売却にどう影響するのか。市街化調整区域がある市町村の顔ぶれは、愛知・三重・岐阜で大きく違います。公的資料から3県分を整理しました。

公開 2026年8月30日/最終更新 2026年9月3日

都市計画法には「区域区分」という制度があります。都市計画区域を市街化区域(すでに市街地になっている、またはおおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図る区域)と市街化調整区域(市街化を抑制し、農地・山林などを保全する区域)に分ける制度です。区域区分がある(=線引き)都市計画区域だけに、市街化調整区域という土地が存在します。

この区域区分を導入するかどうかは都市計画区域ごとに決まっており、県内で統一されているわけではありません。三重県は29市町のうち11市町だけ、愛知県はほぼ全域、岐阜県は27ある都市計画区域のうち5区域だけ——3県でまったく違う構造になっています。ご自身の市町村がどちらに当たるかを、まず確認してください。

1. 市街化調整区域とは — 「線引き」で決まる区分

区分できること農地・宅地としての売りやすさ
市街化区域用途地域に応じて自由に建築できる宅地として通常どおり売却できる
市街化調整区域原則として開発行為・建築が制限される。農地を宅地に転用するにも許可が必要買い手が限られる。農業関係者・資材置き場・太陽光発電など用途は限定的
非線引き都市計画区域区域区分そのものがない。用途地域が指定されていれば、その規制に従う市街化調整区域という区分自体が存在しない
都市計画区域外都市計画法の規制を受けない市街化調整区域という区分自体が存在しない

ここで注意が要るのは、「市街化調整区域が無い」=「自由に売れる」ではないという点です。非線引き都市計画区域や都市計画区域外にも、農地であれば農地法の転用規制がかかります。区域区分は「市街化調整区域という重い規制が追加で乗るかどうか」の話であって、農地の規制そのものを免れる話ではありません。

出典:国土交通省「都市計画運用指針」都市計画区域・区域区分の考え方

2. 三重県 — 29市町のうち、市街化調整区域があるのは11市町だけ

三重県は少数派です。県が公表する都市計画区域決定状況によると、区域区分(線引き)が敷かれているのは29市町のうち11市町のみ。残り18市町は非線引き都市計画区域か、都市計画区域そのものがありません。

区分市町
区域区分あり(市街化調整区域がある)11市町桑名市・いなべ市・木曽岬町・東員町・四日市市・菰野町・朝日町・川越町・鈴鹿市・津市・松阪市
区域区分なしの都市計画区域 14市町明和町・志摩市・南伊勢町・紀北町・尾鷲市・熊野市・亀山市・多気町・伊勢市・玉城町・鳥羽市・伊賀市・名張市・御浜町
都市計画区域が無い 4町大台町・度会町・大紀町・紀宝町

※津市・いなべ市は、市内の一部に区域区分の無い都市計画区域も含みます(上表では区域区分がある11市町に分類)。

この11市町の合計は、市街化区域24,138ha に対して市街化調整区域67,509ha——約2.8倍の広さです。差が最も大きいのは木曽岬町で14.4倍(102ha対1,472ha)。11市町のうち川越町だけは市街化区域のほうが広い(640ha対233ha)という逆転が起きています。

出典:三重県「都市計画区域決定状況」

3. 愛知県 — 6つの都市計画区域はすべて線引き。無いのは3町村だけ

愛知県は三重県とは逆の構造です。県内の都市計画区域は6つに再編されており、そのすべてに区域区分(線引き)があります。54市町村のうち51市町村が、いずれかの都市計画区域に含まれます。つまり愛知県内のほとんどの市町村に、市街化調整区域が存在します。

都市計画区域含まれる市町村
名古屋名古屋市・瀬戸市・津島市・尾張旭市・豊明市・日進市・愛西市・清須市・北名古屋市・弥富市・あま市・長久手市・東郷町・豊山町・大治町・蟹江町・飛島村
尾張一宮市・春日井市・犬山市・江南市・小牧市・稲沢市・岩倉市・大口町・扶桑町
知多半田市・常滑市・東海市・大府市・知多市・阿久比町・東浦町・南知多町・美浜町・武豊町
豊田豊田市・みよし市
西三河岡崎市・碧南市・刈谷市・安城市・西尾市・知立市・高浜市・幸田町
東三河豊橋市・豊川市・蒲郡市・新城市・田原市

市町村の全域が都市計画区域外なのは、山間部の設楽町・東栄町・豊根村の3町村です(愛知県「開発許可制度の概要」)。この3町村には市街化調整区域という区分自体がありません。なお豊田市(旧小原村・旧足助町・旧下山村・旧旭町・旧稲武町)、岡崎市(旧額田町の一部)、新城市(旧鳳来町の一部・旧作手村)にも、旧町村部に都市計画区域外の地域があります。

愛知県は2010年(平成22年)12月24日の県告示で、それまでの20都市計画区域を上の6区域に再編しました。県の「開発許可制度の概要」は、県内に非線引きの都市計画区域は無い(6区域すべてに区域区分がある)としています。県資料(令和6年4月1日時点)では市街化区域が約113,331ha、市街化調整区域が約240,988haで、調整区域のほうが約2.1倍広い構造です。ご自身の市町村の正確な区分は、市区町村の都市計画課でご確認ください。

出典:愛知県「都市計画区域」/豊田都市計画区域マスタープラン/蒲郡市「市街化区域・市街化調整区域」/愛知県「開発許可制度の概要」/刈谷市「都市計画区域の再編(平成22年12月24日)」

4. 岐阜県 — 27の都市計画区域のうち、線引きは5区域だけ

岐阜県は三重県よりもさらに局地的です。県内には27の都市計画区域がありますが、区域区分(線引き)があるのは岐阜・各務原・羽島・大垣・多治見の5区域だけ。残り22区域はすべて非線引き都市計画区域で、市街化調整区域という区分自体が存在しません。

区分都市計画区域
線引きあり(市街化調整区域がある)5区域岐阜・各務原・羽島・大垣・多治見
非線引き 22区域本巣・高富・海津・養老・輪之内・関ヶ原・揖斐・関・美濃・可児・美濃加茂・八百津・御嵩・八幡・土岐・瑞浪・中津川・恵那・高山・古川・神岡・下呂

もっとも規模が大きい岐阜都市計画区域の内訳は確認が取れています。岐阜市・瑞穂市(一部)・岐南町・笠松町・北方町の5市町で構成され、いずれも市街化区域・市街化調整区域への区分があります。各務原・羽島・大垣・多治見の4区域についても同じ制度ですが、構成市町村の内訳までは今回すべて確認できていません(区域名の市が中心と見られます)。

27区域の名称と線引き・非線引きの分類は複数の情報源を突き合わせて整理したものです。岐阜市・高山市・岐南町・笠松町については、各市町の公式ページで区域区分の有無を個別に確認しています。ご自身の市町村が線引き区域に含まれるかどうかは、市区町村の都市計画課、またはイエクラベのAI査定(住所を入力すると国土交通省データでリアルタイムに判定します)でご確認ください。

出典:岐阜県「都市計画区域マスタープラン」/岐阜市「市街化区域・市街化調整区域の区域区分制度」/笠松町「都市計画」/高山市「都市計画について」

よくあるご質問

Q市街化調整区域の土地は、まったく売れませんか?
A

売れないわけではありませんが、宅地と同じようには売れません。開発許可や用途の制限があるため、買主は農業関係者や資材置き場・太陽光発電など限られた用途を探すことになり、市街化区域内の土地に比べて時間がかかりやすい傾向があります。

Q自分の土地が市街化調整区域かどうか、どこで確認できますか?
A

市区町村の都市計画課の窓口や、都道府県が公開している都市計画情報の地図で確認できます。イエクラベのAI査定でも、住所を入力すると国土交通省の用途地域データをもとに判定します。

Q市街化調整区域でも、家を建てたり建て替えたりできますか?
A

原則として新築・増改築は制限されますが、既存建物の建て替えや、農家の分家住宅など一定の条件を満たす場合に、個別の許可・届出で認められることがあります。可否は市区町村の都市計画課での個別確認が必要です。

Q三重県・愛知県・岐阜県で、市街化調整区域の扱いに違いはありますか?
A

都市計画法の制度自体は全国共通ですが、区域区分を「導入するかどうか」「どこまで指定するか」は都市計画区域ごとに決まります。三重県は一部市町のみ、愛知県はほぼ全域、岐阜県は一部区域のみと、3県でも構造が大きく異なります。本文の一覧でご自身の市町村を確認してください。

出典:国土交通省「都市計画運用指針」/三重県「都市計画区域決定状況」/愛知県「都市計画区域」/岐阜県「都市計画区域マスタープラン」

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