知った時から1年以内の通知で、追完・減額・賠償・解除。免責特約も「知りながら告げなかった」事実には効きません。
公開 2026年10月18日
契約不適合責任とは、引き渡した土地や建物が「種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない」ときに、売主が負う責任です。買主は、修補などの追完、代金の減額、損害賠償、契約の解除を請求できます。買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しないと、原則としてこれらの請求はできなくなります。
個人が売主の中古住宅では、責任を負わない特約(免責特約)や期間を区切る特約が使われます。ただし、売主が知りながら告げなかった事実については、特約があっても責任を免れません。
民法第562条は、「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」に、買主が履行の追完を請求できると定めています(民法第562条)。2020年4月の改正民法で、それまでの「瑕疵担保責任」から置き換わった考え方です。
ポイントは「契約の内容」が基準になることです。雨漏りや給排水管の故障そのものではなく、契約でどういう状態の家を売ると約束したかで判断されます。だから、売買契約書や付属の「物件状況報告書」に、分かっている不具合を書いておくことが売主の守りになります。書いてある不具合は、契約の内容に含まれるからです。
| 例 | 契約書に記載 | 扱い |
|---|---|---|
| 雨漏りがある | 記載あり | 記載どおりの状態なので、原則として不適合にならない |
| 雨漏りがある | 記載なし | 契約の内容に適合しない可能性が高い |
| 建物面積が契約より小さい | — | 数量の不適合(数量指示売買の場合) |
表は条文の構造を当てはめた一般的な整理です。個別の事案では契約書の文言や経緯で結論が変わります。
不適合があったとき、買主には次の手段があります。
| 請求 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 追完請求 | 修補、代替物の引渡し、不足分の引渡し | 民法第562条 |
| 代金減額請求 | 追完を催告しても期間内に追完がないとき、不適合の程度に応じて減額 | 民法第563条 |
| 損害賠償請求 | 債務不履行の一般規定による | 民法第564条・第415条 |
| 契約の解除 | 債務不履行の一般規定による | 民法第564条・第541条・第542条 |
追完については、売主は「買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる」とされています(民法第562条第1項ただし書)。買主が「新品に取り替えて」と言っても、修理で足りるなら修理で応じられる、ということです。不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものなら、追完請求はできません(同条第2項)。
種類または品質の不適合について、買主が「その不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは」、買主は追完・減額・損害賠償・解除のいずれもできなくなります(民法第566条)。
ただし書があります。「売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない」。売主が知っていた不具合は、1年の通知期限で守られません。
※1年以内に必要なのは「通知」です。請求そのものを1年以内に終える必要はありません。通知した後の請求権は、民法の一般の消滅時効(知った時から5年・権利を行使できる時から10年)に従います。
数量の不適合と権利の不適合(他人の権利が付いているなど)には、この1年ルールは適用されません。
個人間の中古住宅売買では、「売主は契約不適合責任を負わない」「引渡しから3か月に限る」といった特約がよく使われます。民法は原則として特約を認めますが、限界があります。
民法第572条:「売主は、第五百六十二条第一項本文又は第五百六十五条に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。」(e-Gov法令検索)
| 特約の内容 | 個人が売主 | 宅建業者が売主 |
|---|---|---|
| 責任を負わない(全部免責) | 有効。ただし知りながら告げなかった事実は免責されない | 無効(買主に不利) |
| 引渡しから3か月に限る | 有効。同上 | 無効(2年未満は買主に不利) |
| 引渡しから2年に限る | 有効。同上 | 有効(宅建業法第40条の例外) |
売主が宅地建物取引業者の場合、宅建業法第40条が民法より買主に不利な特約を禁じています。例外は「民法第566条の期間を引渡しの日から2年以上とする特約」だけで、これに反する特約は無効です(宅地建物取引業法第40条)。
責任の範囲を狭めるには、契約の内容を具体的にしておくことです。
買取業者に売る場合、契約不適合責任を免責にする契約が多くあります。仲介で個人に売るより手取りは下がりますが、引渡し後の責任を残したくない人には向きます。仲介と買取の違いで比較しています。
イエクラベのAI査定は、仲介で売った場合と買取に出した場合の金額を同時に出します。契約不適合責任を免責にできる買取と、手取りが大きい仲介のどちらを選ぶか、金額の差を見てから決められます。
当社は宅地建物取引業者ではありません。売買の媒介または代理は、当社の提携する宅地建物取引業者が行います。AI査定の結果は公開データにもとづく概算であり、売買価格を保証するものではありません。
Q契約不適合責任は、個人が売主でも負いますか?
負います。民法の規定なので、売主が個人でも宅建業者でも適用されます。ただし個人が売主の場合は、責任を負わない特約や期間を区切る特約を結ぶことができます。それでも、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れません(民法第572条)。
Q買主からの請求には期限がありますか?
種類・品質の不適合は、買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しなければ、追完・減額・損害賠償・解除のいずれもできなくなります(民法第566条)。売主が引渡し時にその不適合を知っていた、または重大な過失で知らなかった場合は、この期限は適用されません。
Q「免責」の特約があれば、何も責任を負わなくてよいですか?
いいえ。免責特約があっても、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れません。知っている不具合は物件状況報告書に書いて、契約の内容にしておくことが確実です。
Q不動産会社が売主の場合は何が違いますか?
宅建業法第40条により、民法より買主に不利な特約は無効です。例外は、通知期間を引渡しから2年以上とする特約だけです。全部免責や3か月限定の特約は、宅建業者が売主なら無効になります。
出典:e-Gov法令検索「民法」(明治二十九年法律第八十九号)第562条・第563条・第564条・第566条・第572条/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(昭和二十七年法律第百七十六号)第40条
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