決済で要るのは登記識別情報と、3か月以内の印鑑証明書。
公開 2026年10月15日
不動産の売却で使う書類は、段階ごとに変わります。いちばん大事なのは、決済・引渡しの日に使う登記識別情報(または登記済証)と、作成後3か月以内の印鑑証明書の2つです。
登記識別情報を失くしても、売却はできます。再発行はされないため、登記所からの事前通知か、司法書士など資格者代理人の本人確認情報で代えます。
売却の流れに沿って並べました。不動産会社や司法書士によって求める範囲は少しずつ違います。下の表は「一般に求められることが多いもの」です。
| 段階 | 主な書類 | 何に使うか | 主な入手先 |
|---|---|---|---|
| 査定時 | 登記事項証明書(登記簿謄本)、購入時の売買契約書・重要事項説明書、固定資産税の納税通知書、間取り図 | 所在・面積・権利関係、価格の根拠 | 法務局/手元/市町村から届く通知 |
| 媒介契約時 | 本人確認書類、登記事項証明書 | 所有者本人かどうかの確認 | 手元/法務局 |
| 売買契約時 | 本人確認書類、印鑑、物件の状況を伝える書面(不動産会社の書式)、建築確認済証・検査済証、測量図・境界の書類(あれば)、マンションは管理規約など | 取引時確認、重要事項説明、契約 | 手元/管理会社 |
| 決済・引渡し時 | 登記識別情報または登記済証、印鑑証明書(作成後3か月以内)、実印、住民票など(住所が変わった場合)、ローンが残っていれば抵当権抹消の書類、鍵 | 所有権移転登記・抵当権抹消登記 | 手元/市町村/金融機関 |
| 確定申告時 | 売却時と購入時の売買契約書、仲介手数料などの領収書、譲渡所得の内訳書、特例を使うなら登記事項証明書など | 譲渡所得の計算と特例の添付書類 | 手元/税務署・国税庁サイト/法務局 |
売買契約や媒介で本人確認を求められるのは、法律の決まりです。宅地建物取引業者は犯罪収益移転防止法の「特定事業者」で(同法第2条第2項第42号)、売買契約の締結や媒介は、本人確認などの取引時確認が必要な取引とされています(同法施行令第7条第1項)。
査定の段階では、書類がそろっていなくても始められます。AI査定で、仲介と買取の目安を先に知っておくこともできます。
売却して所有権を移す登記では、売主(登記義務者)の登記識別情報を登記所に出すのが原則です。ただし、提供できないことに「正当な理由がある場合」はこの限りでない、と定められています(不動産登記法第22条)。
登記識別情報は、登記が完了したときに通知するものです。再通知(再発行)は認められていません(法務省 登記識別情報に関するQ&A Q17)。古い登記済証(権利証)は、これまでどおり登記の申請に使えます(同Q12)。どちらも失くした場合、代わりの本人確認の方法は次の3つです(不動産登記法第23条)。
| 方法 | しくみ | 気をつけること |
|---|---|---|
| 事前通知 | 登記官が売主本人に「申請があった」と通知し、本人が「間違いない」と申し出る | 個人あての通知は本人限定受取郵便。申出の期間は発送の日から2週間(外国に住所があれば4週間)。申出があるまで登記はされない |
| 資格者代理人の本人確認情報 | 司法書士などの代理人が売主に面談して本人確認を行い、その情報を登記所に出す | 登記官が内容を相当と認めれば、事前通知は省略される |
| 公証人の認証 | 申請情報や委任状について、公証人から本人確認の認証を受ける | 登記官が内容を相当と認めれば、事前通知は省略される |
期間は不動産登記規則第70条で決まっています。登記記録上の住所から住所変更の登記をしている場合は、原則として前の住所にも通知が届きます(不動産登記法第23条第2項)。
事前通知は、本人が申し出るまで登記が完了しません。代金の支払いと登記の申請を同じ日に行う通常の決済では、どの方法を使うかを司法書士と早めに決めておく必要があります。費用や日程は事務所によって違うため、見積りを取ってください。
出典:不動産登記法/不動産登記規則/法務省 登記識別情報に関するQ&A
※盗まれたなど、不正に使われるおそれがあるときは、登記官に登記識別情報の「失効の申出」ができます(法務省Q&A Q15)。
売主が書面で登記を申請する場合、または司法書士に委任して申請する場合、売主の印鑑証明書を添付します。この印鑑証明書は「作成後三月以内のものでなければならない」と決まっています(不動産登記令第16条第3項・第18条第3項)。
3か月は、登記を申請する日(ふつうは決済日)の時点で数えます。売買契約のときに取った証明書を決済まで使い回すと、期間が切れることがあります。決済日が決まってから取るのが確実です。
登記簿の住所と今の住所が違う場合
申請情報の売主の住所が登記記録と合っていないと、申請は却下されます(不動産登記法第25条第7号)。引っ越したあと住所を変えていない人は、売却の前に住所変更の登記が必要です。住民票や戸籍の附票など、住所のつながりを示す書類を用意します。
住所の変更登記は、2026年(令和8年)4月1日から義務になりました。変更の日から2年以内に申請しなければならず、正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象です(不動産登記法第76条の5・第164条第2項)。4月1日より前の変更も対象で、2028年(令和10年)3月31日までの登記が必要とされています(名古屋法務局「住所・名前の変更登記に関する手続のご案内」)。
マンション(区分所有建物)の売買では、不動産会社が重要事項説明で説明しなければならない事項が上乗せされます(宅地建物取引業法施行規則第16条の2)。売主は、これに答えるための資料を求められます。
| 重要事項説明で求められる主な事項 | 手がかりになる書類 |
|---|---|
| 敷地に関する権利の種類と内容 | 登記事項証明書(敷地権の表示) |
| 共用部分・専有部分の利用制限(ペット・楽器・用途など)、専用使用権 | 管理規約、使用細則 |
| 修繕積立金の規約と、すでに積み立てられている額 | 管理規約、管理組合の決算書類 |
| 所有者が負担する通常の管理費用の額 | 管理費・修繕積立金の請求書や引落し明細 |
| 管理の委託先 | 管理委託契約の内容が分かる書類 |
| 維持修繕の実施状況の記録 | 修繕履歴、長期修繕計画、総会の議事録 |
積立額や修繕の記録が手元にない場合は、管理会社から取り寄せられるかを不動産会社に相談してください。依頼の手数料や日数は管理会社によって違います。
亡くなった人の名義のままでは、買主へ名義を移す登記ができません。先に相続登記をして、相続人の名義にします。
確定申告では、亡くなった人の取得費を引き継ぎます(国税庁 No.3270)。亡くなった人が買ったときの契約書があれば、相続の段階で一緒に探しておくと後で役立ちます。見つからなければ、売った金額の5%を取得費にする方法があります(No.3258)。
手続の全体は相続した実家を売る流れ、登記の義務は相続登記の義務化にまとめています。個別の登記や税の判断は、司法書士・税理士にご確認ください。
売った翌年の確定申告では、売却と購入の契約書、仲介手数料などの領収書から「譲渡所得の内訳書」を作ります(国税庁 譲渡所得の申告のしかた)。
マイホームの3,000万円控除や軽減税率を使う場合は、内訳書に加えて登記事項証明書などを添えます。登記事項証明書は「不動産番号等の明細書」に不動産番号を書けば省略できます。売買契約日の前日の住民票の住所と売った家の所在地が違うときは、戸籍の附票の写しなども必要です(国税庁 No.3302/No.3305)。
決済の日に受け取る書類(売買代金の領収書、固定資産税の精算書など)は、申告が終わるまでまとめて保管してください。税額の考え方は売ったときの税金、特例は3,000万円特別控除で解説しています。
書類をそろえる前に、まずいくらで売れそうかを知っておくと段取りが決めやすくなります。イエクラベは、仲介で売った場合と買取に出した場合の金額を同時に出します。
当社は宅地建物取引業者ではありません。売買の媒介または代理は、当社の提携する宅地建物取引業者が行います。AI査定の結果は公開データにもとづく概算であり、売買価格を保証するものではありません。
Q登記識別情報(権利証)を失くしました。再発行できますか?
できません。法務省は、登記識別情報は登記完了時に通知するものなので再通知は認められないとしています。売却の登記は、登記所からの事前通知か、司法書士などの資格者代理人による本人確認情報、または公証人の認証で本人確認をして進めます。
Q印鑑証明書はいつ取ればよいですか?
登記に使う印鑑証明書は作成後3か月以内のものでなければなりません(不動産登記令第16条・第18条)。登記を申請する日(通常は決済日)に3か月以内である必要があるため、決済日が決まってから取るのが確実です。
Q登記簿の住所が昔の住所のままです。売れますか?
売れますが、先に住所変更の登記が必要です。申請情報の住所が登記記録と合わないと申請は却下されます。住所変更登記は2026年4月1日から義務化され、それより前の変更は2028年3月31日までに登記が必要です。
Q相続した家を売るとき、まず何をすればよいですか?
相続登記で相続人の名義にすることが先です。相続登記は相続を知った日から3年以内が義務で、2024年4月1日より前の相続は2027年3月31日までに登記が必要です。法定相続情報証明制度を使うと、戸除籍謄本等の束の代わりになる一覧図の写しが無料で交付されます。
出典:e-Gov法令検索「不動産登記法」(第22条・第23条・第25条・第76条の5・第164条)/e-Gov法令検索「不動産登記令」(第16条・第18条)/e-Gov法令検索「不動産登記規則」(第70条)/法務省「登記識別情報に関するQ&A」/名古屋法務局「住所・名前の変更登記に関する手続のご案内【令和8年4月から義務化】」/法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」/法務局「法定相続情報証明制度について」/e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」(第16条の2)/e-Gov法令検索「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(第2条)・同法施行令(第7条)/国税庁 タックスアンサー No.3302 マイホームを売ったときの特例/国税庁 タックスアンサー No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例/国税庁 タックスアンサー No.3258 取得費が分からないとき/国税庁 タックスアンサー No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期/国税庁「譲渡所得の申告のしかた」令和7年分
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