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借地権・底地を売る方法

借地権は地主の承諾か、裁判所の許可があれば売れます。

公開 2026年10月15日

借地権は、地主の承諾を得れば第三者に売れます。地主が承諾しないときは、裁判所に「地主の承諾に代わる許可」を申し立てる方法があります(借地借家法19条)。底地は地主が自分の判断で売れ、借地人が建物を登記していれば、地主の立場はそのまま買主に引き継がれます。

譲渡の承諾料の額は、法令では決まっていません。相続税の「借地権割合」(路線価図の記号A〜G=90〜30%)も税金の計算に使う割合で、売買価格を示すものではありません。

1. まず、自分の借地権の種類を確かめる

借地権とは、建物を持つために土地を借りる権利です。借地借家法は「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」と定義しています(2条1号)。

現在の借地借家法は1991年(平成3年)に公布され、それまでの借地法・借家法などは廃止されました(附則2条)。新しい法律は、原則として施行前に生じた事項にも適用されます。ただし、旧法によってすでに生じた効力は妨げられず、附則に特別の定めがある事項(建物の朽廃による借地権の消滅など)は「なお従前の例による」とされています(附則4条・5条)。古い借地契約では、旧借地法のルールが残る部分がある、ということです。

種類根拠存続期間契約の形式
普通借地権借地借家法3条30年(契約でこれより長く定めた場合はその期間)定めなし
一般定期借地権借地借家法22条50年以上。更新・建物の築造による延長なし公正証書による等書面(電磁的記録も可)
事業用定期借地権等借地借家法23条10年以上50年未満。専ら事業用の建物(居住用を除く)公正証書
建物譲渡特約付借地権借地借家法24条設定後30年以上たった日に、建物を地主に相当の対価で譲渡する特約定めなし
旧借地法時代の借地権借地借家法 附則附則で「従前の例による」とされた事項は旧法による契約書で確認

手元の借地契約書と、土地・建物の登記事項証明書を見れば、権利の種類と期間の多くはわかります。地上権か賃借権かは、次の節の「地主の承諾」に関係するので、最初に確かめてください。

出典:借地借家法(e-Gov法令検索)2条・3条・22条〜24条・附則

2. 借地権を売るには、地主の承諾が要る

土地の賃借権を他人に譲るには、地主(賃貸人)の承諾が必要です。民法612条1項は「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」と定めています。

承諾を得ずに第三者に土地を使わせると、地主は契約を解除できます(同条2項)。借地権付きの建物を売るときは、建物の売買契約より先に、地主と話をしておくのが順番です。

※民法612条は「賃借権」についての規定です。借地権が地上権として設定されている場合は扱いが異なるため、契約書と登記で権利の種類を確認してください。

出典:民法(e-Gov法令検索)612条

3. 地主が承諾しないときは、裁判所の許可を申し立てる

借地人が借地上の建物を第三者に譲ろうとする場合で、その第三者が借地権を取得しても地主に不利となるおそれがないのに、地主が承諾しないとき。裁判所は借地人の申立てにより、地主の承諾に代わる許可を与えることができます(借地借家法19条1項)。

  • 申し立てるのは売る前:条文は「建物を第三者に譲渡しようとする場合」と定めています。
  • 条件がつくことがある:裁判所は、借地条件の変更を命じたり、財産上の給付(金銭の支払い)を許可の条件にしたりできます(同項)。
  • 考慮される事情:借地権の残りの期間、借地に関するこれまでの経過、譲渡が必要な事情など、一切の事情です(同条2項)。
  • 鑑定委員会の意見:裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、鑑定委員会の意見を聴かなければなりません(同条6項)。
  • 地主が自分で買うと申し出ることもできる:裁判所が定める期間内に、地主が自ら建物と借地権を譲り受けると申し立てた場合、裁判所は相当の対価などを定めて、地主への譲渡を命じることができます(同条3項)。

申立先は、原則として借地の所在地を管轄する地方裁判所です。当事者の合意があれば、所在地を管轄する簡易裁判所でもかまいません(借地借家法41条)。愛知・三重・岐阜の借地なら、それぞれの土地の所在地で決まります。

この手続は「借地非訟事件」と呼ばれます。東京地方裁判所は、扱う事件の種類として「土地の賃借権譲渡又は転貸の許可申立事件」や「借地権設定者の建物及び土地賃借権譲受申立事件」を挙げ、審理の流れを公開しています(借地非訟事件について)。

出典:借地借家法(e-Gov法令検索)19条・41条/東京地方裁判所「借地非訟事件について」

4. 譲渡承諾料は「◯%」と決まっているのか

決まっていません。民法にも借地借家法にも、譲渡承諾料(名義書換料と呼ばれることもあります)の額や割合を定めた規定はありません。

地主と合意できれば、その額で決まります。裁判所の許可を求めた場合は、19条にもとづき、裁判所が事情を考慮して財産上の給付を条件にするかどうか、いくらにするかを判断します。東京地方裁判所が公開している答弁書の書式にも、地主が「申立人から受ける財産上の給付」について、希望金額と算定根拠を書く欄があります(賃借権譲渡・土地転貸許可申立事件 答弁書)。金額は事件ごとに主張し合うもの、という作りです。

「借地権価格の◯%が相場」という説明を見かけたら、それが法令なのか、誰の調査なのかを確かめてください。公的な統計は見当たりませんでした。

5. 誰に売るか:4つの選択肢

売り先地主の承諾承諾しないときの手段確かめること
地主に売る地主自身が買主になるなし(合意できなければ成立しない)価格は当事者の交渉で決まる
第三者(個人など)に売る必要(民法612条)裁判所の許可(借地借家法19条)承諾料・地代などの条件変更の有無
底地と同時に売る地主と借地人が合意して一緒に売るなし(両者の合意が前提)代金を地主と借地人でどう分けるか
不動産会社の買取必要(会社も第三者)裁判所の許可(借地借家法19条)承諾の取り付けを誰が担うか

底地と借地権を同時に売ると、買主は土地と建物をまとめて手に入れます。地主と借地人が同じ方向を向けるなら、選択肢のひとつになります。

どの売り先でも、出発点になるのは「土地と建物をまとめて売ったらいくらか」という金額です。AI査定は所有権の物件を前提にした概算で、借地権や底地の価格そのものではありません。それでも、同時に売る場合の全体の目安を知る手がかりにはなります。

売ったときの税金の考え方は不動産を売ったときの税金をご覧ください。個別の判断は、弁護士・司法書士・税理士にご確認ください。

6. 底地を売る場合

底地(借地権が設定された土地)は、地主の財産です。売るときに借地人の承諾を要するという規定は、民法にも借地借家法にもありません。

借地人が借地上に自分名義で登記された建物を持っていれば、借地権を第三者に対抗できます(借地借家法10条1項)。その場合、土地が売られると、賃貸人たる地位は買主に移ります(民法605条の2第1項)。借地人は、新しい地主のもとで同じ契約のまま住み続けることになります。

  • 借地人に売る:借地人は土地と建物の両方を持つことになります。
  • 第三者に売る:買主は地代を受け取る立場を引き継ぎます。
  • 借地人と同時に売る:前の節の「底地と同時に売る」と同じです。

出典:借地借家法10条/民法605条の2

7. 「借地権割合」は売買価格ではない

国税庁の路線価図には、借地権割合が記号で示されています。

記号ABCDEFG
借地権割合90%80%70%60%50%40%30%

出典:国税庁「路線価図の説明」

この割合は、相続税・贈与税で財産を評価するためのものです。借地権の評価額は「自用地としての価額×借地権割合」(国税庁 No.4611 借地権の評価)。底地(貸宅地)は「自用地としての価額-自用地としての価額×借地権割合」で計算します。借地権の取引慣行がないと認められる地域の貸宅地は、借地権割合を20%として計算します(国税庁 No.4613 貸宅地の評価)。

たとえば路線価図で「D(60%)」の土地でも、借地権が更地の60%の値段で売れる、という意味ではありません。売買価格は、買主と売主の合意で決まります。地主の承諾の有無、残りの期間、地代、建物の状態。どれも税の評価には入っていない要素です。

8. イエクラベでできること

イエクラベは、仲介で売った場合と買取に出した場合の金額を同時に出します。借地権・底地の価格そのものではありませんが、土地と建物をまとめて売った場合の目安は、地主と借地人が話し合うときの共通の物差しになります。

当社は宅地建物取引業者ではありません。売買の媒介または代理は、当社の提携する宅地建物取引業者が行います。AI査定の結果は公開データにもとづく概算であり、売買価格を保証するものではありません。

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よくあるご質問

Q地主が借地権の売却を承諾してくれません。売れませんか?
A

借地上の建物を第三者に譲ろうとする場合で、地主に不利となるおそれがないのに地主が承諾しないときは、土地の所在地を管轄する地方裁判所に、地主の承諾に代わる許可を申し立てられます(借地借家法19条・41条)。裁判所は、借地条件の変更や財産上の給付を許可の条件にすることがあります。申立ては建物を譲渡する前に行います。

Q譲渡承諾料は借地権価格の何%ですか?
A

法令に定めはありません。地主との合意で決まり、裁判所の許可を求めた場合は、裁判所が一切の事情を考慮して財産上の給付を条件にするかどうかを判断します。割合を示した公的な統計も見当たりませんでした。

Q路線価図の借地権割合が60%なら、借地権は更地価格の60%で売れますか?
A

そうとは限りません。借地権割合は相続税・贈与税で財産を評価するための割合です。実際の売買価格は、地主の承諾の有無、残りの期間、地代、建物の状態などを踏まえて、売主と買主の合意で決まります。

Q底地を売るのに借地人の承諾は要りますか?
A

民法・借地借家法に、底地の売却に借地人の承諾を求める規定はありません。借地人が登記された建物を持っていれば借地権を第三者に対抗でき、土地が売られると賃貸人たる地位は買主に移ります(借地借家法10条、民法605条の2)。

Q地主が自分で買い取ると言ってきたらどうなりますか?
A

裁判所の許可の手続の中で、地主が自ら建物と借地権を譲り受けると申し立てた場合、裁判所は相当の対価などを定めて、地主への譲渡を命じることができます(借地借家法19条3項)。

出典:e-Gov法令検索「借地借家法」(平成3年法律第90号)/e-Gov法令検索「民法」(明治29年法律第89号)/東京地方裁判所「借地非訟事件について」/東京地方裁判所「賃借権譲渡・土地転貸許可申立事件 答弁書」書式/国税庁「路線価図の説明」/国税庁 タックスアンサー No.4611 借地権の評価/国税庁 タックスアンサー No.4613 貸宅地の評価

土地と建物をまとめて売った場合の目安を、仲介と買取の2つで確かめられます。

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