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共有名義・共有持分の不動産を売る方法

全体を売るなら全員の合意、自分の持分だけなら1人で売れます。

公開 2026年10月15日

共有名義の不動産を丸ごと売るには、共有者全員がそれぞれの持分を売る必要があります。つまり全員の合意が要ります。自分の持分だけなら、ほかの共有者の同意がなくても売れます。

話し合いがつかなければ、裁判所に共有物の分割を求められます(民法258条)。共有者の一部が行方不明なら、2023年(令和5年)4月施行の改正民法で、裁判所の決定を得て、その人の持分を取得したり、持分を含めて不動産全体を売ったりする道ができました。

1. 「共有」と「持分」の基本

1つの不動産を複数の人で持つことを共有といいます。それぞれが持つ割合が持分です。登記事項証明書の権利部に「持分2分の1」などと書かれています。

共有者は、不動産の全部について、持分に応じた使用ができます(民法249条1項)。使い方などの管理に関する事項は、持分の価格の過半数で決めます(民法252条1項)。一方、共有物に「変更」を加えるには、ほかの共有者の同意が必要です(民法251条1項)。

不動産全体を売ることは、共有者全員が自分の持分をすべて手放すことです。1人でも売らない人がいれば、全体を売ることはできません。

出典:民法(e-Gov法令検索)249条・251条・252条

2. 自分の持分だけなら、1人で売れる

民法206条は、所有者が法令の制限内で、所有物を自由に使用・収益・処分できると定めています。民法には、共有持分の売却にほかの共有者の同意を求める規定はありません。自分の持分だけを売ることは、単独でできます。

ただし、買った人はほかの共有者と一緒に1つの不動産を持つことになります。全体の使い方を1人では決められず、持分の価格の過半数で決めるのが原則です。持分を買った人も、ほかの共有者と同じく共有物の分割を請求できます(次の節)。

持分だけを売る前に、ほかの共有者に買ってもらえないかを先に聞いてみる価値はあります。共有者の1人に持分が集まれば、その人は単独の所有者として全体を売れるようになります。

3. 話し合いがつかないとき:共有物分割請求

各共有者は、いつでも共有物の分割を請求できます(民法256条1項)。ただし、5年を超えない期間内は分割しないという契約をすることはでき、更新もできます(同条1項ただし書・2項)。

協議がまとまらないとき、または協議ができないときは、裁判所に分割を請求できます(民法258条1項)。裁判所が命じられる分割の方法は次のとおりです。

  • 現物を分ける:土地を分筆するなど、物そのものを分ける(258条2項1号)。
  • 持分を取得させて代金を払わせる:共有者の一部に債務を負担させて、ほかの共有者の持分の全部または一部を取得させる(同項2号)。
  • 競売:上の方法で分割できないとき、または分割で価格を著しく減少させるおそれがあるとき(同条3項)。

裁判所は、分割の裁判の中で、金銭の支払い、物の引渡し、登記義務の履行などを当事者に命じることもできます(同条4項)。

出典:民法256条・258条

4. 共有者が行方不明のとき:2023年4月施行の新しい手続

法務省の資料は、令和5年4月1日施行の「共有制度の見直し」として、次のように説明しています。「所在等が不明な共有者がいる場合には、他の共有者は、地方裁判所に申し立て、その決定を得て、所在等が不明な共有者の持分を取得したり、その持分を含めて不動産全体を第三者に譲渡することができます」(法務省「令和3年民法・不動産登記法改正」P.14)。

持分の取得持分の譲渡
根拠民法262条の2民法262条の3
できること行方不明の共有者の持分を、申し立てた共有者が取得する行方不明の共有者の持分を特定の者に譲渡する権限を得る
条件同じ持分について分割請求などがあり、ほかの共有者が異議の届出をしたときは不可ほかの共有者全員が、同じ特定の者に持分の全部を譲渡することが条件(停止条件)
相続財産の場合遺産分割をすべき場合は、相続開始の時から10年を経過していないと不可遺産分割をすべき場合は、相続開始の時から10年を経過していないと不可
行方不明の共有者の権利取得された持分の時価相当額の支払を請求できる不動産の時価相当額を持分に応じて按分した額の支払を請求できる
申立先不動産の所在地を管轄する地方裁判所(非訟事件手続法87条)不動産の所在地を管轄する地方裁判所(非訟事件手続法88条)

手続の主な流れは次のとおりです。

  • 裁判所が申立てなどを公告し、異議の届出などの期間は3か月を下ってはならないとされています(非訟事件手続法87条2項)。
  • 裁判所は、裁判の前に、申立人に対して裁判所が定める額の金銭を供託するよう命じます(同条5項)。
  • 譲渡の権限を得る裁判では、効力が生じてから2か月以内に譲渡の効力が生じないと、裁判は効力を失います。この期間は裁判所が延ばせます(同法88条3項)。

大阪地方裁判所のQ&Aでは、供託金額は対象の共有持分の時価相当額を基礎に裁判所が決めると説明し、時価の資料として不動産鑑定士の鑑定書(評価書)か不動産業者の査定書を求めています(所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てについてのQ&A)。必要書類は裁判所ごとに確認してください。

出典:民法262条の2・262条の3/非訟事件手続法87条・88条/法務省「令和3年民法・不動産登記法改正」/大阪地方裁判所 第10民事部 Q&A(令和8年4月版)

5. どの方法を選ぶか:比較表

方法必要な同意・手続結果注意点
全員で全体を売る共有者全員の合意買主が全体の単独所有者になる1人でも反対すると進まない
自分の持分だけ売る単独でできる買主がほかの共有者と共有する全体の使い方は1人で決められない
ほかの共有者に持分を売る買う共有者との合意買った共有者に持分が集まる価格は当事者の交渉で決まる
共有物分割請求協議、まとまらなければ裁判(民法258条)現物分割・持分取得と代金支払い・競売相続財産で遺産分割をすべきときは原則使えない
所在等不明共有者の手続地方裁判所の決定(民法262条の2・262条の3)不明者の持分を取得、または全体を第三者に譲渡供託が必要。相続財産は10年要件あり

どの方法でも、まず知りたいのは「全体を売ったらいくらか」です。AI査定で全体の目安を出し、共有者のあいだで同じ数字を見ながら話すと、持分の買い取り額も相談しやすくなります。法律の個別判断は、弁護士・司法書士にご確認ください。

6. 税金:3,000万円控除は共有者それぞれ

マイホームを売ったときの3,000万円特別控除は、共有の場合、共有者全員で3,000万円ではありません。国税庁は、特例を受けられる共有者1人ごとに最高3,000万円まで控除できると説明しています(No.3308 共有のマイホームを売ったとき)。

  • 譲渡所得は、各共有者の持分に応じて計算します。
  • 特例を受けられるかどうかは、共有者ごとに判定します。
  • 家屋は共有せず、敷地だけを共有している場合、家屋の所有者以外の共有者は、原則として特例を受けられません。
  • 確定申告は共有者一人ひとりが行います。

控除の要件は3,000万円特別控除、税額の計算は不動産を売ったときの税金にまとめています。具体的な適用は税理士・税務署にご確認ください。

7. 相続で共有になったとき

相続人が複数いると、相続財産は相続人の共有になります。各相続人の共有持分は、民法900条〜902条で算定した相続分です(民法898条)。遺言がなく、遺産分割をしないままにしておくと、実家が兄弟姉妹の共有のまま残ります。

遺産分割をすべき段階では、共有物分割請求(民法258条)は使えません。遺産分割の手続で、誰が取得するか、売って代金を分けるかを決めます(民法258条の2第1項)。ただし、相続開始の時から10年を経過したときは、相続財産に属する持分についても共有物分割ができます(同条2項)。

相続した不動産を売るには、まず相続人名義への登記が必要です。手続の順番は相続した実家を売る流れ、登記の期限は相続登記の義務化をご覧ください。

出典:民法898条・258条の2

8. イエクラベでできること

イエクラベは、仲介で売った場合と買取に出した場合の金額を同時に出します。共有者が離れて住んでいても、同じ物件の2つの金額を共有すれば、全体を売るか、持分を買い取るかを比べる材料になります。

当社は宅地建物取引業者ではありません。売買の媒介または代理は、当社の提携する宅地建物取引業者が行います。AI査定の結果は公開データにもとづく概算であり、売買価格を保証するものではありません。

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よくあるご質問

Q共有者の1人が反対していても、家全体を売れますか?
A

売れません。全体を売るには共有者全員がそれぞれの持分を売る必要があります。話し合いがつかない場合は、裁判所に共有物の分割を請求でき、裁判所は現物分割、持分を取得させて代金を払わせる方法、競売のいずれかを命じることができます(民法258条)。

Q自分の持分だけを売るのに、ほかの共有者の同意は要りますか?
A

民法に、共有持分の売却にほかの共有者の同意を求める規定はありません。自分の持分だけなら単独で売れます。買主はほかの共有者と一緒に不動産を持つことになります。

Q共有者の1人と連絡がつかず、居場所もわかりません。どうすればよいですか?
A

2023年4月1日施行の改正民法で、不動産の所在地を管轄する地方裁判所に申し立て、その決定を得て、所在等が不明な共有者の持分を取得したり、その持分を含めて不動産全体を第三者に譲渡したりできるようになりました(民法262条の2・262条の3)。時価相当額の金銭の供託が必要で、相続財産として遺産分割をすべき場合は相続開始から10年を経過していることが条件です。

Q夫婦共有のマイホームを売ると、3,000万円控除は2人で3,000万円ですか?
A

いいえ。国税庁は、共有者全員で3,000万円ではなく、特例を受けられる共有者1人ごとに最高3,000万円まで控除できると説明しています。適用の可否は共有者ごとに判定し、確定申告も一人ひとりが行います。

Q相続した実家が兄弟の共有になっています。共有物分割請求はできますか?
A

遺産分割をすべき段階では、共有物分割請求ではなく遺産分割の手続で決めます(民法258条の2第1項)。相続開始の時から10年を経過したときは、相続財産に属する持分についても共有物分割ができます(同条2項)。

出典:e-Gov法令検索「民法」(明治29年法律第89号)/e-Gov法令検索「非訟事件手続法」(平成23年法律第51号)/法務省民事局「令和3年民法・不動産登記法改正/相続土地国庫帰属法制定」(2026.4版)/大阪地方裁判所第10民事部「所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てについてのQ&A」(令和8年4月版)/国税庁 タックスアンサー No.3308 共有のマイホームを売ったとき

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