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相続した不動産の取得費加算の特例。期限と計算方法

相続税を払った人だけ。相続開始から3年10か月以内の売却が条件です。

公開 2026年10月18日

相続した土地や建物を売ると、譲渡所得に所得税・住民税がかかります。取得費加算の特例は、その人が納めた相続税のうち売った財産に対応する額を取得費に加えて、譲渡所得を減らす制度です。

使えるのは、相続税が課税された人が、相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで(相続開始から約3年10か月以内)に売った場合です。相続税を払っていない人は使えません。相続空き家の3,000万円控除とは併用できないので、どちらが有利かを比べます。

1. 適用の3要件

国税庁 No.3267は、次の3つをすべて満たす場合に適用できるとしています。

  1. 相続または遺贈により財産を取得した人であること
  2. その財産を取得した人に相続税が課税されていること
  3. その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること

相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です(国税庁 No.4205)。したがって期限は「相続開始から10か月+3年」、およそ3年10か月後です。

相続開始(死亡日)相続税の申告期限取得費加算が使える売却期限
2024年1月15日2024年11月15日2027年11月15日
2025年6月1日2026年4月1日2029年4月1日
2026年10月18日2027年8月18日2030年8月18日

表は原則どおりに当てはめた例です。期限が土日祝日に当たる場合の扱いなど、個別の判定は税務署か税理士に確認してください。「譲渡した日」は原則として引渡し日ですが、契約の効力発生日を選ぶこともできます。

※配偶者の税額軽減などで相続税額がゼロになった人は、「相続税が課税されている」に当たらないため、この特例は使えません。

2. 加算できる額の計算式

取得費に加算する相続税額 = その人の相続税額 ×(売った財産の相続税評価額 ÷ その人の相続税の課税価格の基礎となった財産の合計額)

分母は、取得財産の価額に、相続時精算課税の贈与財産と、相続財産に加算される暦年課税の贈与財産を加えた額です。加算額が、この特例を使わない場合の譲渡益を超えるときは、譲渡益の額が上限になります。計算は、売った財産ごとに行います。

例:相続税額300万円、課税価格の合計6,000万円、売った土地の相続税評価額2,000万円

  • 加算額:300万円 × 2,000万円 ÷ 6,000万円 = 100万円
  • 土地を2,500万円で売却、引き継いだ取得費500万円、譲渡費用80万円の場合
  • 特例なし:2,500万円 −(500万円+80万円)= 譲渡所得 1,920万円
  • 特例あり:2,500万円 −(500万円+100万円+80万円)= 譲渡所得 1,820万円
  • 長期譲渡(税率20.315%)なら、税額の差は約20万円

取得費そのものは、被相続人が買ったときの価額を引き継ぎます。分からなければ売った金額の5%(概算取得費)です(国税庁 No.3270)。

3. 相続空き家の3,000万円控除とは選択

亡くなった人が一人で住んでいた家を相続して売る場合、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」(最大3,000万円)が使えることがあります。この2つは併用できず、どちらか一方を選びます。

取得費加算相続空き家の3,000万円控除
減る額納めた相続税の一部(多くは数十万〜数百万円)譲渡所得から最大3,000万円
相続税を払っていない人使えない使える
対象相続した財産すべて(土地・建物・株式など)昭和56年5月31日以前の建築、被相続人が一人暮らし、など要件が多い
期限相続開始から約3年10か月相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ2027年12月31日まで

譲渡所得が大きいなら3,000万円控除のほうが減る額は大きいのが通常です。相続空き家の特例の要件を満たさない場合(マンション、昭和56年6月以降の建築、賃貸していたなど)に、取得費加算が役立ちます。詳しくは相続空き家の3,000万円控除。

4. 手続きと必要書類

確定申告書に次の書類を添えて、所轄の税務署に提出します。

  • 相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]

計算明細書には、相続税の申告書の数値(相続税額、課税価格、売った財産の評価額)を転記します。相続税の申告書の控えを手元に用意してください。確定申告の期限は、売った年の翌年3月15日です(不動産売却の確定申告)。

5. イエクラベでできること

取得費加算の期限は相続開始から約3年10か月。相続登記、遺産分割、売却活動をこの期限内に終える必要があります。イエクラベのAI査定は、仲介で売った場合と買取に出した場合の金額を同時に出すので、期限が迫っているときに買取で確実に終える判断の材料になります。

当社は宅地建物取引業者ではありません。売買の媒介または代理は、当社の提携する宅地建物取引業者が行います。AI査定の結果は公開データにもとづく概算であり、売買価格を保証するものではありません。

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よくあるご質問

Q取得費加算の特例はいつまでに売れば使えますか?
A

相続開始の翌日から、相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月)の翌日以後3年を経過する日までです。相続開始からおよそ3年10か月以内の売却が条件です。

Q相続税を払っていなくても使えますか?
A

使えません。その財産を取得した人に相続税が課税されていることが要件です。配偶者の税額軽減などで税額がゼロになった人も対象外です。

Q相続空き家の3,000万円控除と両方使えますか?
A

併用できません。どちらか一方を選びます。譲渡所得が大きい場合は3,000万円控除のほうが有利なことが多く、3,000万円控除の要件を満たさない物件では取得費加算が役立ちます。

Q加算できる額はどう計算しますか?
A

その人の相続税額 ×(売った財産の相続税評価額 ÷ その人の課税価格の合計額)です。加算額は譲渡益が上限で、売った財産ごとに計算します。確定申告書に「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書」を添付します。

出典:国税庁 タックスアンサー No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例/国税庁 タックスアンサー No.4205 相続税の申告と納税/国税庁 タックスアンサー No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期

期限までに売り切るか、時間をかけて高く売るか。仲介と買取、2つの価格を先に確かめられます。

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