利益が出たら翌年3月15日まで。特例は申告しないと使えません。
公開 2026年10月15日
不動産を売って利益(譲渡所得)が出たら、売った年の翌年2月16日から3月15日までに確定申告をします。3,000万円の特別控除などの特例は、税額がゼロになる場合でも、申告しないと受けられません。
取得費(買ったときの代金など)が分からないときは、売った金額の5%を取得費にできます。2026年中に売った場合、原則どおりなら申告期間は2027年2月16日(火)から3月15日(月)です。
土地や建物を売った所得は、給与などとは合計しません。分けて税額を計算する「分離課税」です(国税庁 No.1440)。申告が要るかどうかは、利益が出たかと、特例を使うかで決まります。
| 売った結果 | 確定申告 | 理由 |
|---|---|---|
| 利益が出た(特例なし) | 必要 | 譲渡所得に所得税・住民税がかかる |
| マイホームで、3,000万円控除などを使えば税額ゼロ | 必要 | 特例は「確定申告をすること」が適用の条件 |
| マイホームの売却で損が出て、損失の特例を使う | 必要 | 他の所得との損益通算・繰越控除は申告が条件 |
| 損が出て、特例は使わない | その売却で納める税はない | 土地建物の損失は、原則として給与など他の所得と相殺できない |
4つ目の「相殺できない」は、国税庁の手引きにこう書かれています。「一定の居住用財産の譲渡損失の金額を除き、土地や建物の譲渡所得以外の所得との損益の相殺や損益通算をすることができません」(土地や建物の譲渡所得のあらまし)。
会社員の場合、給与以外の所得の合計が20万円以下なら所得税の申告は不要という決まりもあります(国税庁 No.1900)。ただ、特例を使うなら申告が条件です。利益が小さいときは、自分がどれに当たるか税務署で確かめてください。
確定申告の期間は、原則として売った年の翌年2月16日から3月15日まで。納付の期限も3月15日です(国税庁 No.2020)。
期限が日曜日・祝日などに当たるときは、その翌日が期限になります(国税通則法第10条第2項)。たとえば令和7年分は、3月15日が日曜日だったため、期限は2026年3月16日(月)でした(国税庁 確定申告特集)。
| 売った年 | 申告する年分 | 申告期間(原則) |
|---|---|---|
| 2025年(令和7年) | 令和7年分 | 2026年2月16日〜3月16日(期限が日曜のため延長) |
| 2026年(令和8年) | 令和8年分 | 2027年2月16日(火)〜3月15日(月) |
※令和8年分の日程は、原則と暦から当てはめたものです。国税庁が確定申告特集で公表する日程を必ずご確認ください。
「いつ売ったか」は、原則として引渡しの日です。ただし売買契約の効力が発生した日を選んで申告することもできます(所得税基本通達36-12)。年末をまたぐ取引は、どちらの年分になるかを先に確かめておくと安心です。
譲渡所得の金額は、次の式で出します(国税庁 No.1440)。
譲渡所得 = 売った金額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除額
税率は、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかで分かれます。
| 区分 | 所有期間(売った年の1月1日時点) | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% |
このほか、令和8年分(2026年中の売却)までは、所得税額の2.1%の復興特別所得税を所得税と一緒に申告・納付します(No.3208/No.3211)。令和8年度の税制改正により、令和9年分以降は復興特別所得税1.1%と防衛特別所得税1%(合計2.1%)になります。復興特別所得税の課税は令和29年分までです(国税庁 防衛特別所得税及び復興特別所得税Q&A)。
税率と特例の全体は売ったときの税金(譲渡所得税)にまとめています。金額を入れて試すなら譲渡所得税シミュレーター。
先祖から受け継いだ土地や、買ったのが古くて契約書が残っていない家。こうした取得費が分からない場合は、売った金額の5%を取得費にできます。実際の取得費が5%に満たないときも、5%を使えます(国税庁 No.3258)。
例:3,000万円で売却、取得費は不明、譲渡費用100万円、所有期間5年超(特例なし)
5%の方法では、売った金額の95%から譲渡費用を引いた額が課税の対象になります。実際の取得費が売った金額の5%より大きければ、実額を使うほうが税額は小さくなります。購入時の売買契約書や、通帳の振込記録などを探す価値はあります。売る前に税額の見当をつけたいときは、AI査定で売却価格の目安を出し、この式に当てはめてみてください。
相続や贈与で受け継いだ不動産は、亡くなった人(贈与した人)の取得費と取得時期を引き継ぎます。5%の方法を使う場合、相続人が払った登記費用などは取得費に含められません(No.3270)。
土地と建物を一括で買い、契約書で価格が分かれていない場合は、国税庁の「建物の標準的な建築価額表」を使って建物の取得価額を計算しても差し支えないとされています(土地や建物の譲渡所得のあらまし)。
土地や建物の譲渡所得は、確定申告書の第一表・第二表と「第三表(分離課税用)」で申告します。計算の明細は「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]」に書きます(国税庁 譲渡所得の申告のしかた)。
内訳書を書くために、手元にそろえておく資料です。
| 資料 | 何に使うか | 主な入手先 |
|---|---|---|
| 売却時の売買契約書 | 売った金額・契約日・買主 | 手元(売買契約時に受領) |
| 購入時の売買契約書・建築請負契約書 | 取得費 | 手元(なければ5%の方法を検討) |
| 仲介手数料・印紙税などの領収書 | 譲渡費用 | 手元 |
| 固定資産税の精算額が分かる書類 | 売った金額に含める精算金 | 決済時の精算書 |
| 登記事項証明書(特例を使う場合) | 特例の添付書類 | 法務局(不動産番号の明細書で省略可) |
| 戸籍の附票の写しなど(該当者) | 住民票の住所と売った家が違う場合の居住の証明 | 本籍地の市区町村 |
固定資産税の精算金は、売った金額に含めて計算します(No.1440)。特例を使うときの登記事項証明書は、「不動産番号等の明細書」に不動産番号を書けば添付を省略できます(No.3305)。
e-Taxで出す場合
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で、内訳書も含めて作成できます(申告のしかた・記載例)。送信はマイナンバーカード方式が基本。ID・パスワード方式は2025年10月1日に新規発行が止まりました。すでに持っている人は使えますが、令和9年分の確定申告からは使えなくなる予定です(国税庁のお知らせ/e-Tax)。
マイホームの売却で使える主な特例です。どれも「一定の書類を添えて確定申告をすること」が条件で、何もしなければ自動では適用されません。
| 特例 | 主な要件 | 申告で気をつけること |
|---|---|---|
| 3,000万円の特別控除(No.3302) | 住んでいた家と敷地。住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る。前年・前々年に適用なし | 税額がゼロでも申告が必要 |
| 軽減税率(No.3305) | 売った年の1月1日で家屋・敷地とも所有10年超 | 課税長期譲渡所得6,000万円以下の部分は所得税10%。3,000万円控除と重ねて使える |
| 特定のマイホームの買換え(No.3355) | 令和9年12月31日までに売却。居住・所有とも10年以上。売却代金1億円以下 | 3,000万円控除などとは併用できない |
| 買換え等の譲渡損失(No.3370) | 令和9年12月31日までに売却。所有5年超。新居の床面積50㎡以上・償還期間10年以上のローン | 翌年以後3年繰り越せる。繰越の年も毎年連続して申告 |
| 特定居住用財産の譲渡損失(No.3390) | 令和9年12月31日までに、ローン残高を下回る価格で売却。所有5年超。買換えなしでも可 | 損失の上限は「契約日前日のローン残高−売却価額」。繰越の年も連続して申告 |
損失の繰越控除は、合計所得金額が3,000万円以下の年分に限られます(あらまし)。3,000万円控除の詳しい要件は3,000万円特別控除で解説しています。
住民税の申告は別に要るか
所得税の確定申告書を出せば、改めて住民税の申告書を出す必要はありません(あらまし)。
特例の組み合わせや適用の可否は、事情によって変わります。迷うときは税理士か税務署にご確認ください。
期限までに申告しなかった場合、本来の税金に加えて無申告加算税がかかります。納付日までの延滞税も加わります(国税庁 No.2024)。
| 状況 | 無申告加算税 |
|---|---|
| 調査の事前通知の前に、自主的に期限後申告 | 納付すべき税金の5% |
| 調査を受けた後の期限後申告・税務署の決定 | 50万円までの部分15%、50万円超300万円までの部分20%、300万円超の部分30% |
表の下段は、令和6年1月1日以後に法定申告期限が来るもの(令和5年分以降)の割合です。
出典:国税庁 タックスアンサー No.2024 確定申告を忘れたとき
期限から1か月以内に自主的に申告し、期限内に申告する意思があったと認められる一定の場合は、無申告加算税はかかりません。
もう一つの損は、特例を受けられなくなること。3,000万円控除などは申告が条件なので、申告しなければ控除のない税額で計算されます。期限を過ぎたと気づいたら、早めに税務署へ相談してください。
申告する税額は、いくらで売れたかで決まります。イエクラベは、仲介で売った場合と買取に出した場合の金額を同時に出すので、売る前に税額の目安を2通りで考えられます。
当社は宅地建物取引業者ではありません。売買の媒介または代理は、当社の提携する宅地建物取引業者が行います。AI査定の結果は公開データにもとづく概算であり、売買価格を保証するものではありません。
Q3,000万円の特別控除で税金がゼロになります。それでも確定申告は必要ですか?
必要です。国税庁は、この特例の適用を受けるためには一定の書類を添えて確定申告をすることが必要としています。申告しなければ控除は受けられず、控除のない税額で計算されます。
Q売って損が出た場合も確定申告は要りますか?
マイホームの売却で損失の特例(損益通算・繰越控除)を使うなら必要です。繰り越す年も毎年続けて申告します。特例を使わない場合、土地建物の損失は原則として給与など他の所得と相殺できないため、その売却で納める税はなく、申告で受けられる効果もありません。
Q昔に買った家で、取得費が分かりません。
売った金額の5%を取得費にできます(概算取得費)。実際の取得費がそれより大きいなら、実額で計算したほうが税額は小さくなります。購入時の契約書や振込記録が見つかれば、実額で計算できます。
Q申告期限を過ぎてしまいました。
できるだけ早く期限後申告をしてください。税務署の調査の事前通知の前に自主的に申告すれば、無申告加算税は納付すべき税金の5%です。期限から1か月以内で、期限内に申告する意思があったと認められる一定の場合はかかりません。延滞税は別にかかります。
出典:国税庁 タックスアンサー No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)/国税庁 タックスアンサー No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)/国税庁 タックスアンサー No.3208 長期譲渡所得の税額の計算/国税庁 タックスアンサー No.3211 短期譲渡所得の税額の計算/国税庁 タックスアンサー No.3255 譲渡費用となるもの/国税庁 タックスアンサー No.3258 取得費が分からないとき/国税庁 タックスアンサー No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期/国税庁 タックスアンサー No.3302 マイホームを売ったときの特例/国税庁 タックスアンサー No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例/国税庁 タックスアンサー No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例/国税庁 タックスアンサー No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき/国税庁 タックスアンサー No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき/国税庁 タックスアンサー No.2020 確定申告/国税庁 タックスアンサー No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人/国税庁 タックスアンサー No.2024 確定申告を忘れたとき/国税庁「令和7年分 確定申告特集」/国税庁「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」令和7年分/国税庁「土地や建物の譲渡所得のあらまし」(譲渡所得の申告のしかた 参考1)/国税庁「ID・パスワード方式の新規発行停止について」/国税庁 e-Tax「e-Taxの利用の簡便化について」/e-Gov法令検索「国税通則法」/国税庁「所得税基本通達36-12 山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期」/国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A」令和8年5月
税額は、いくらで売れるかで決まります。仲介と買取、2つの売却額を先に確かめられます。
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