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築年数による耐震基準(旧耐震・新耐震・現行基準)が査定に与える影響

日本の耐震基準は1981年6月と2000年6月を境に「旧耐震」「新耐震」「現行基準」の3段階に分かれています。同じ築年数でも、どちらの基準に該当するかで査定額やローンの通りやすさが変わります。

公開 2026年9月3日

不動産の耐震性は「築年数」そのものではなく、「いつの耐震基準で建てられたか」で決まります。日本の耐震基準には1981年(昭和56年)6月と2000年(平成12年)6月という2つの法改正の節目があり、「旧耐震」「新耐震」「2000年基準(現行基準)」の3段階に分かれています。

旧耐震基準の物件は、同条件の新耐震基準の物件と比べて査定額が1〜3割程度低くなる傾向があります(実務上の目安で、この割合を示した公的な統計はありません)。一般財団法人日本耐震診断協会によると、阪神・淡路大震災で被災した木造家屋の98%が旧耐震基準の建物だったという結果も出ています。

1. 耐震基準は3段階に分かれている

日本の建物の耐震基準は、大きな地震のたびに見直されてきました。不動産の実務でよく使われる区分は次の3つです。

区分建築確認日の目安主な内容
旧耐震基準1981年(昭和56年)5月31日以前震度5強程度の中規模な地震で建物が「倒壊しない」ことを目標にした基準
新耐震基準1981年(昭和56年)6月1日〜2000年(平成12年)5月31日震度6強〜7程度の大地震でも「倒壊・崩壊しない」ことを目標にした基準
2000年基準(現行基準)2000年(平成12年)6月1日以降新耐震基準の枠組みを維持しつつ、木造住宅の地盤・接合部・耐力壁の配置をさらに具体化した基準

ここで注意したいのは、この日付が「建築年」ではなく「建築確認申請を出した日」を基準にしていることです。建築確認が下りてから実際に建物が完成するまでには数か月かかることがあるため、「築年数」の表示だけで新耐震か旧耐震かを厳密に判定することはできません。正確に確認する方法は3節で説明します。

1-1. 1981年(昭和56年)6月の改正で何が変わったか

1978年の宮城県沖地震で多くの建物が被害を受けたことを受けて、1981年に建築基準法施行令が改正されました。これが「新耐震基準」と呼ばれるものです。目標とする耐震性能が、それまでの「震度5強程度で倒壊しない」から、「震度6強〜7程度の地震でも倒壊・崩壊しない(人命を守る)」という水準に引き上げられました。

この差は1995年の阪神・淡路大震災で実証されています。国土交通省の被害調査では、1981年(昭和56年)以前の建物に被害が集中し、新耐震基準以降の建物の被害は少なかったことが確認されています。さらに一般財団法人日本耐震診断協会(JSDA)によれば、このとき被災した木造家屋の実に98%が旧耐震基準で建てられた建物だったとされています。「旧耐震か新耐震か」という区分が、実際の地震被害の大きな分かれ目になっていたことがわかります。

1-2. 2000年(平成12年)6月の改正で何が変わったか

新耐震基準は建物全体の強度についての基準でしたが、阪神・淡路大震災では新耐震基準の木造住宅でも一部に倒壊被害が出ました。原因を調べると、壁の量は足りていても配置が偏っていたり、柱と土台・梁をつなぐ金物が不十分だったりするケースが目立ちました。これを受けて2000年に建築基準法施行令が再改正され、主に木造住宅について次の3点が新たに規定されました。

  1. 地盤の強さに応じて、基礎の仕様(鉄筋コンクリートの布基礎かベタ基礎かなど)を使い分けること
  2. 柱・梁・筋交いなどの接合部に、引き抜けを防ぐための金物を指定どおりに設置すること
  3. 耐力壁(地震の横揺れに耐える壁)を、建物の一部に偏らせず、バランスよく配置すること

このため、同じ「新耐震基準」の中でも、2000年5月以前の木造住宅と2000年6月以降の木造住宅とでは実際の耐震性能に差が出やすい、というのが不動産業界での共通認識になっています。これが「2000年基準」あるいは「現行基準」と呼ばれる区分です。マンションなど鉄筋コンクリート造の建物は、この2000年改正の影響を木造住宅ほど強くは受けていません。

出典:国土交通省「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法」/一般財団法人日本耐震診断協会(JSDA)「阪神・淡路から20年。耐震基準が明暗をわけた」

2. なぜ「築年数」ではなく「耐震基準」で査定額が変わるのか

不動産の査定では、周辺の成約事例や公示地価などをもとに価格を計算しますが、同じ築年数・同じ立地・同じ広さの物件でも、耐震基準の区分によって成約価格の水準そのものが変わる傾向があります。理由は大きく3つです。

  1. 買主の住宅ローンが通りにくくなる——旧耐震基準の建物は、金融機関の住宅ローン審査で担保評価が低く出やすく、希望額を借りられない、あるいは金利の優遇が受けられないことがあります。買える人の母数そのものが新耐震基準の物件より少なくなります。詳しくは4節で説明します。
  2. 税制上の優遇が自動では使えない——住宅ローン控除や登録免許税・不動産取得税の軽減措置には「昭和57年1月1日以後に建築された住宅であること」という要件があります。旧耐震基準の建物はこの要件を満たさないため、「耐震基準適合証明書」などの追加書類を取得しないと優遇が使えません。詳しくは5節で説明します。
  3. 買主・仲介会社が心理的に不安を感じやすい——「旧耐震」という言葉自体に不安を感じる買主は少なくありません。耐震診断・耐震改修を行っていて安全性に問題がない物件でも、その事実が伝わっていなければ相場より安く評価されがちです。

以上の理由から、不動産業界では旧耐震基準の物件は、同条件の新耐震基準の物件と比べて1〜3割程度、成約価格が低くなる傾向があるとされています(実務上の目安であり、この割合を示した公的な統計はありません)。ただし下落幅は立地やリフォームの有無、耐震診断の実施状況によって大きく変わるため、一律の目安として鵜呑みにせず、個別の査定で確認することが大切です。

3. 自分の家がどちらに当たるかを確認する方法

「築年数」の表示だけでは正確に判定できないと1節で述べましたが、次の方法で確認できます。

  1. 建築確認済証・検査済証の日付を見る——「確認済証交付日」が1981年6月1日以降であれば新耐震基準です。これがいちばん確実な方法です。
  2. 建築確認済証が手元にない場合は、建物の建築年月日を目安にする——確認申請から完成まで数か月かかるため、1982年(昭和57年)以降に完成した建物であれば、ほぼ新耐震基準に該当します。逆に1981年前後は個別に確認が必要です。
  3. 登記事項証明書(登記簿謄本)の「原因及びその日付」欄でも建築時期を確認できます——ただしこれは住宅ローン控除の税制上の基準日(昭和57年1月1日)と対応するもので、建築確認日そのものとは別の日付です。両者を混同しないよう注意してください。
  4. 役所の建築指導課などで「建築計画概要書」を取得する——古い建物で書類が残っていない場合の確認方法です。

木造住宅で「2000年基準」に該当するかどうかまで確認したい場合は、建築確認日が2000年6月1日以降かどうかに加えて、実際に耐震診断を受けるのが確実です。売却の相談の流れそのものは、売却の流れのコラムもあわせてご覧ください。

出典:みんな安心住まいサポートセンター「<新耐震基準>を満たす住宅とはどういう意味ですか」

4. 住宅ローンの通りやすさへの影響

金融機関は住宅ローンの審査で、建物の担保評価を重視します。多くの金融機関で、旧耐震基準の建物は担保評価が下がる、融資期間が短くなる、あるいは特定の住宅ローン商品(フラット35など)の利用条件を満たさない、といった扱いになりがちです。

一例として、住宅金融支援機構の「フラット35」では、新耐震基準に適合していることを示す書類の提出などが条件になる場合があります。旧耐震基準の物件でこうした条件を満たすには、耐震診断や耐震基準適合証明書の取得が必要になることがあり、買主にとって手間が増えます。住宅ローンが残っている家の売り方は住宅ローンが残っている家を売る方法で解説しています。

売る側から見ると、買主候補の資金調達のハードルが上がる分、購入検討者の数自体が絞られやすいということです。これは価格だけでなく、「売れるまでの期間」にも影響します。

5. 税制優遇と「耐震基準適合証明書」

中古住宅を購入する際の住宅ローン控除には、次のいずれかの要件を満たす必要があります。

  1. 昭和57年(1982年)1月1日以後に建築された住宅であること(登記事項証明書の建築日付で判定)
  2. これに該当しない場合(おおむね旧耐震基準の建物)は、取得の日前2年以内に交付された「耐震基準適合証明書」、または登録住宅性能評価機関が発行する耐震等級1以上の「建設住宅性能評価書」、もしくは既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書のいずれかが必要

登録免許税や不動産取得税の軽減措置にも、同様に建築年またはこれらの証明書を条件とする仕組みがあります。適用条件をまとめると次のとおりです。

建築時期の区分住宅ローン控除などの適用条件
昭和57年1月1日以後に建築(登記上)追加書類なしで適用可
昭和56年12月31日以前に建築耐震基準適合証明書・建設住宅性能評価書(耐震等級1以上)・既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書のいずれかが必要

つまり旧耐震基準の建物であっても、耐震基準適合証明書などを取得すれば、買主は新耐震基準の建物と同じ税制優遇を受けられるということです。

売主の立場でこの制度を知っておく意味は大きく、耐震基準適合証明書を売主側であらかじめ取得しておく、あるいは取得できることを重要事項として案内できるようにしておくと、買主の不安と手間を減らし、価格交渉で不利になりにくくなります。証明書の発行には耐震診断が必要で、費用と数週間程度の期間がかかるため、売却を検討し始めた早い段階で調べておくと安心です。売却にかかる費用全般は売却にかかる費用のコラムも参考にしてください。

出典:国税庁 No.1211-3「中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」/国税庁 No.1215「要耐震改修住宅を取得して耐震改修を行い、令和3年までに居住の用に供した場合」

6. 仲介と買取、それぞれでの扱われ方

不動産を売る方法には大きく「仲介」(買主を探して市場で売る方法)と「買取」(不動産会社が直接買い取る方法)の2つがあります。旧耐震基準の物件は、この2つの方法で影響の出方が少し異なります。

  • 仲介の場合——買主は個人であることが多く、住宅ローンを利用するケースが大半です。融資のハードルが上がるため、買主が見つかるまでの時間が長引きやすく、価格交渉でも下押し圧力を受けやすい傾向があります。
  • 買取の場合——買主は不動産会社(現金一括での購入や自社ローンでの取得)であることが多く、個人の住宅ローン審査の影響を直接は受けません。そのぶん旧耐震というだけで大きく買取価格が下がるとは限りませんが、リフォーム・解体・再建築の可能性を織り込んで査定されるため、建物の傷み具合や土地としての価値が価格に強く反映されます。

「早く確実に現金化したいが、旧耐震で仲介での買い手探しに時間がかかりそう」という場合には、買取という選択肢も検討する価値があります。空き家になっている旧耐震物件については空き家を放置するとどうなるもあわせてご覧ください。仲介での想定価格と買取での想定価格を並べて比べたうえで、時期や手間も含めて判断するのが実務的です。

7. 高く売る・後悔しないためのポイント

  1. 建築確認日を先に確認する——「築45年だから旧耐震」と思い込まず、1節・3節の方法で正確な区分を調べる。1982年前後に建てられた物件は、実際には新耐震基準に該当していることも珍しくありません。
  2. 耐震診断・耐震基準適合証明書の取得を検討する——費用はかかりますが、買主の住宅ローン控除や税の軽減が使えるようになり、購入検討者の幅が広がります。
  3. 耐震改修の実績があれば資料を残しておく——改修履歴や診断結果は、買主・仲介会社への説明材料として有効です。
  4. 仲介と買取の両方で査定額を比較する——旧耐震の物件ほど、売却方法によって価格や売却までの期間の差が出やすいため、両方の想定額を見比べてから決めるのが安心です。
  5. エリアの相場・地盤条件もあわせて確認する——耐震基準は建物側の話ですが、実際の資産価値は土地の条件にも左右されます。

耐震基準を確認したら、実際の価格も見ておく

耐震基準がどちらに該当するかが分かったら、次はその物件が実際にいくらで売れそうかです。イエクラベのAI査定は、仲介の想定価格と買取の想定価格を匿名のまま同時に確認できます。

当社は宅地建物取引業者ではありません。売買の媒介または代理は、当社の提携する宅地建物取引業者が行います。

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よくあるご質問

Q築年数が古くても、耐震基準さえ新しければ査定は下がりませんか?
A

耐震基準は査定に影響する要素のひとつですが、唯一の要素ではありません。設備の老朽化や間取りの使いやすさ、立地条件なども査定額に影響します。ただし「旧耐震か新耐震か」は査定額を大きく左右する要素の一つであるため、まず確認しておく価値があります。

Q旧耐震基準のマンションは住宅ローンが組みにくいと聞きましたが、耐震補強工事をすれば新耐震基準と同じ扱いになりますか?
A

管理組合などが耐震診断・耐震改修を行い、耐震基準適合証明書などを取得できれば、税制優遇や住宅ローンの審査の面で新耐震基準の建物と同様の扱いを受けられる場合があります。ただし補強工事を行った事実そのものが自動的に登記や公的な記録に反映されるわけではないため、証明書類を保管し、売却時に提示できるようにしておくことが大切です。

Q新耐震基準(1981年〜2000年5月)の木造一戸建ては、2000年基準の建物と同じように評価されますか?
A

どちらも新耐震基準を満たしていますが、2000年の改正で接合金物や耐力壁の配置がより具体的に規定されています。金融機関や不動産会社によっては、この違いを担保評価や査定に反映させることがあります。

Q「建築確認日」と「登記簿上の建築日」はどちらを見ればよいですか?
A

新耐震基準・旧耐震基準の判定には「建築確認日」を使います。一方、住宅ローン控除など税制上の優遇の判定には「登記事項証明書に記載された建築日(昭和57年1月1日を基準)」を使います。目的によって見る日付が違う点に注意してください。

Q旧耐震基準の物件は売れないので売却をあきらめたほうがよいですか?
A

あきらめる必要はありません。耐震診断や証明書の取得で税制優遇の対象にできますし、買取であれば個人の住宅ローン審査の影響を受けにくくなります。まずは仲介・買取の両方で査定額を確認し、ご自身の状況に合った売り方を選ぶことをおすすめします。

その物件、仲介と買取どちらが手取りで有利か。住所を入力するだけで、匿名のまま参考価格を確認できます。

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