2023年12月施行の改正空家法で「管理不全空家等」が新設されました。
放置した場合に何が起きるかの全体像です。税額の話は 空き家の固定資産税、売るときの控除は 相続空き家の3,000万円控除 をご覧ください。
2023年(令和5年)12月13日施行の改正空家法で、「管理不全空家等」という区分ができました。放置すれば特定空家等になるおそれのある状態の家が対象で、市町村長から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が外れます。
それまでは相当ひどい状態(特定空家等)にならないと外れませんでしたが、その手前の段階でも外れるようになった、というのが改正の要点です。
行政の措置は助言・指導 → 勧告 → 命令 → 行政代執行の4段階で進みます。命令に違反すると50万円以下の過料、代執行の費用は所有者に請求されます。
特定空家等(空家法2条2項)— 次のいずれかにあたる空家等
管理不全空家等(空家法13条1項)— 2023年の改正で新設
適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にあると認められる空家等
「まだ危険ではないが、このままだと危険になる」段階で行政が動けるようになったということです。
出典:国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」/同「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」(令和5年12月13日施行)
助言・指導 → 勧告 → 命令 → 行政代執行
| 段階 | 何が起きるか |
|---|---|
| 助言・指導(空家法14条1項) | まずここから。この段階では住宅用地特例は外れません |
| 勧告(14条2項) | 住宅用地特例が外れます。ここが分かれ目 |
| 命令(14条3項) | 従わない場合、50万円以下の過料(16条1項) |
| 行政代執行(14条9項) | 市町村が代わりに撤去等を行い、費用は所有者に請求。不払いなら国税滞納処分の例により強制徴収(行政代執行法5条・6条) |
「気づいたら解体されて数百万円を請求された」というのは、この最後の段階です。手前で止められる仕組みになっていることを知っておいてください。助言・指導が届いた時点で動けば、税額は上がりません。
よく「空き家を放置すると固定資産税が6倍」と言われます。正確には住宅用地特例が外れるという話です。小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は課税標準が6分の1になっているので、外れると土地部分の税額は最大でおよそ6倍になります。
詳しい計算と条文の根拠は → 空き家の固定資産税
全国(令和5年住宅・土地統計調査/2023年10月1日現在)
この「その他の住宅」が、いわゆる放置されている家です。貸してもいない、売りにも出していない、別荘でもない家。
| 空き家率 | うち「その他の住宅」 | |
|---|---|---|
| 全国 | 13.8% | 5.9% |
| 愛知県 | 11.8% | 4.3% |
| 三重県 | 16.3% | — |
| 岐阜県 | 16.1% | 8.1% |
愛知県は全国より低く、三重県と岐阜県は全国より高い。とくに岐阜県は、放置されている家の割合が全国の1.4倍近くあります。
社人研の推計では、2050年の人口は愛知県が2020年比 −11.5%、三重県 −23.9%、岐阜県 −25.8%。この数字はこれからも増える方向です。
出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」/国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」
| 出口 | 向いている場合 | 注意点 |
|---|---|---|
| そのまま売る(仲介) | 買主が見つかりそうなエリア | 内覧の準備、契約不適合責任の取り決め |
| 買取に出す | 遠方に住んでいる、建物が古い、期限がある | 金額を仲介と並べて比べる |
| 解体して土地で売る | 建物に価値が残っていない | 解体費用の全国一律の公的な目安はありません。自治体の補助要綱を確認 |
| 貸す | 需要のあるエリア | 修繕費と管理の手間が続く |
解体を検討するなら、先に補助金を調べてください。国土交通省の空家等対策総合支援事業を使って、多くの市町村が独自の補助要綱を持っています。「(市町村名) 空き家 解体 補助金」で確認できます。
なお、相続した実家を2027年12月31日までに売るなら、3,000万円の特別控除が使える可能性があります。しかも2024年1月1日以後の譲渡からは、買主が翌年2月15日までに解体しても適用対象です。 → 相続空き家の3,000万円控除
出典:国土交通省「空き家対策」
「売れないと思っていた家に値段がついた」ということも、「思っていたより安かったので貸すことにした」ということもあります。どちらにしても、金額を知らないと決められません。
当社は宅地建物取引業者ではありません。売買の媒介または代理は、当社の提携する宅地建物取引業者が行います。
Q誰も住んでいなければ、すぐ「管理不全空家等」になりますか?
いいえ。管理不全空家等は「適切な管理が行われていないことにより、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態」と定義されています。定期的に換気・清掃・草刈りをして管理していれば、この状態にはあたりません。
Q命令に従わないとどうなりますか?
空家法16条1項により50万円以下の過料の対象になります。さらに行政代執行に進むと、市町村が代わりに撤去等を行い、その費用が所有者に請求されます。
Q遠方に住んでいて管理できません。
多くの市町村に空き家バンクや相談窓口があります。売却を考える場合は、内覧の立ち会いが不要な買取という選択肢もあります。まずは金額を確認してからご判断ください。
Q相続した家をまだ登記していません。売れますか?
相続登記を済ませないと売却できません。2024年4月からは申請そのものが義務になっています。 → 相続登記の義務化
仲介で売った場合と、買取に出した場合。手数料を引いた手取りまで並べて確認できます。
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