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境界確定の費用と期間

費用の目安、期間、売る前に測るべきかを一次資料で確認します。

公開 2026年10月15日

境界確定測量の費用は法令で決まっておらず、公的な統計もありません。手がかりになるのは日本土地家屋調査士会連合会のアンケートで、隣地との境界確認と測量を含む「土地地積更正登記」の報酬は、全国平均441,391円(税抜)でした。180㎡の市街地の宅地、隣接地6筆といった前提での数字です。

売却前に必ず必要なものではありません。実測した面積で売る場合、土地を分けて売る場合、隣地との境があいまいな場合に必要になります。期間にも公的な目安はなく、話し合いで決まらないときの筆界特定は、名古屋法務局の標準処理期間が9か月です。

1. 「境界」には2つの意味がある

ふだん「境界」と呼んでいるものには、性質の違う2つがあります。

筆界所有権の境(所有権界)
何の線か土地が登記されたときに、その土地の範囲を区切るものとされた線どこまでが自分の所有物かの線
根拠不動産登記法123条の定義民法上の所有権
当事者の合意で変えられない売買などで動くことがある
決まらないときの手続筆界特定制度、筆界確定訴訟所有権の範囲を争う訴訟など

法務省は、筆界は所有権の範囲と一致することが多いものの、一致しないこともあると説明しています。売却で「境界を確定する」というときは、ふつう隣地の所有者と立ち会って、この2つが一致していることを確かめる作業を指します。

出典:不動産登記法 第123条/法務省「筆界特定制度」

2. 境界確定測量では何をするのか

境界の調査と測量は、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。おおまかな流れは次のとおり。

  • 法務局の地図・地積測量図、過去の測量資料などを集める
  • 現地を測量し、資料と照らし合わせて境界の位置を割り出す
  • 道路や水路など公共の土地との境は役所と、民有地との境は隣地の所有者と、立ち会って確認する
  • 合意できた点に境界標(杭など)を入れ、図面にまとめる

こうしてできる図面が、実務で「確定測量図」と呼ばれるものです。測ってみて登記されている面積と違えば、地積更正登記で登記の面積を直します。

民法には、隣り合う所有者が共同の費用で境界標を設けることができる、という定めがあります(223条)。設置と保存の費用は等しい割合で、測量の費用は土地の広さに応じて分担するとされています(224条)。売却のために自分から依頼する測量の費用をどう負担するかは、依頼や合意の内容しだいです。

出典:民法 第223条・第224条

3. 費用はいくらかかるのか

土地家屋調査士の報酬は、2003年8月1日に法務大臣認可の報酬規定が廃止され、事務所ごとに定めるものになりました。法令で決まった金額はありません。

日本土地家屋調査士会連合会は、会員へのアンケート(2025年度)をもとに、決まった前提の事例で報酬額を公表しています。境界確定測量そのものの設問はないため、隣地や道路との境界確認と測量を含む2つの登記の数字を挙げます。

業務(設問の前提)全国平均全国中央値愛知会 平均三重会 平均岐阜会 平均
土地地積更正登記(宅地180㎡、隣接地6筆を調査、道路・隣接民有地と筆界確認)441,391円421,000円459,210円352,268円379,104円
土地分筆登記(宅地264㎡、隣接地5筆を調査、道路・隣接民有地と筆界確認、境界標を設置)482,028円461,415円493,242円399,414円417,860円

出典:日本土地家屋調査士会連合会「土地家屋調査士 報酬ガイド」(令和8年6月1日現在・2025年度アンケート、税抜)/同「会別報酬額一覧(中部)」/業務報酬統計資料(令和7年度)

同じアンケートの会別一覧では、愛知会の土地地積更正登記の回答は最低5万円から最高85万円まで開いています。平均は目安であって、相場ではありません。連合会自身も、条件によって必要な費用や作業時間は異なるとしています。境界杭などの実費は報酬とは別で、依頼内容によって変わります。

金額を左右するのは、主に次のような事情です。

  • 隣接する土地の数と、立ち会う所有者の人数
  • 道路・水路など公共の土地との境界確認が必要か
  • 過去の測量資料が残っているか
  • 土地の広さや形、高低差

※見積もりは複数の事務所から、作業の範囲(隣接地の数、役所との立会い、境界標の設置、登記まで含むか)をそろえて取ると比べやすくなります。

4. 期間はどれくらいかかるのか

境界確定測量にかかる期間を集計した公的な統計は、見当たりませんでした。期間を左右するのは、立ち会う相手の数と、その日程がそろうかどうかです。隣地の所有者が遠方に住んでいる、相続登記がされず所有者がはっきりしない、といった事情があると長くなります。

話し合いで境界が決まらないときは、2つの公的な手段があります。

筆界特定制度筆界確定訴訟
どこに土地の所在地を管轄する法務局・地方法務局の筆界特定登記官裁判所
決めるもの筆界の位置(所有権の範囲は特定しない)筆界
費用申請手数料(土地の価格で決まる)。測量が必要なら測量費用は申請人が負担訴訟の費用
期間標準処理期間は名古屋法務局・津地方法務局・岐阜地方法務局とも9か月公的な目安なし
両者の関係結果に納得できなければ、後から訴訟で争える判決と食い違う範囲で、筆界特定は効力を失う(不動産登記法148条)

筆界特定の申請手数料は、登記手数料令8条と法務省令で計算されます。法務省の例では、申請人の土地と隣の土地の価格の合計が4,000万円なら、手数料は8,000円です。法務省は、裁判よりも迅速で費用負担も少なくて済む制度だと説明しています。

名古屋法務局は不動産登記部門筆界特定室で、予約制の相談を受け付けています。津地方法務局と岐阜地方法務局も筆界特定の案内を公開しており、標準処理期間はいずれも9か月です。関係者の人数や事案の複雑さによっては、これを超えることがあるとされています。

出典:不動産登記法 第123条〜第150条(第6章 筆界特定)/登記手数料令 第8条/法務省「筆界特定制度」/法務省リーフレット/名古屋法務局「筆界特定制度」/津地方法務局「筆界特定」/岐阜地方法務局「筆界特定制度」

5. 隣の人の土地に入って測量できるか(2023年の民法改正)

2023年(令和5年)4月1日に施行された改正民法で、隣地を使う権利の中身がはっきりしました。土地の所有者は、次の目的のために必要な範囲で隣地を使用することができます(民法209条)。

  • 境界やその付近の塀・建物などの築造、撤去、修繕
  • 境界標の調査や、境界に関する測量
  • 越境した枝の切り取り(233条3項による場合)

守るべきルールもあります。

  • 住んでいる家に立ち入るには、居住者の承諾が必要
  • 日時・場所・方法は、隣地の所有者や使っている人の損害がいちばん少ないものを選ぶ
  • 目的・日時・場所・方法を、あらかじめ隣地の所有者と使っている人に通知する(難しいときは、使い始めた後に遅滞なく)
  • 隣地の側に損害が出たら、償金を請求される

ただし、この条文が認めているのは隣地の「使用」です。境界の位置に同意してもらうことや、立会いに来てもらうことまでを求めるものではありません。合意できないときの手段が、4節の筆界特定と訴訟です。

出典:民法 第209条/法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」

6. 売却前にやるべきか。公簿売買と実測売買

土地の売り方には、登記簿の面積で価格を決める方法と、測った面積で決める方法があります。

公簿売買実測売買
面積の基準登記簿に記録された面積測量した実際の面積
境界確定測量必須ではない必要
実際の面積が違ったとき代金を精算しない取り決めにすることが多い(契約しだい)実測面積で代金を決める、または差を精算する
売主の手間と費用少ない測量の費用と期間がかかる
買主から見て面積や境界の不安が残る面積と境界がはっきりしている

次のような場合は、売り出す前に境界確定測量を考えたほうがよいでしょう。

  • 買主や媒介する会社から、実測売買を求められている
  • 土地を分けて一部だけ売る(分筆には境界の確認が必要)
  • 境界標が見当たらない、塀の位置と境について隣の人と認識が違う
  • 古くから所有していて、登記の面積が実際と違いそうだ

逆に、境界標がそろっていて、過去の地積測量図も法務局にあるなら、公簿売買で進めることも考えられます。まず法務局で地積測量図の有無を確かめ、現地で境界標を探す。測量を頼むかどうかは、その後で決めても遅くありません。相続した土地なら、所有者の名義も確認しておきます。→ 相続登記の義務化

境界確定測量が必要かどうかで、売却の段取りと費用は変わります。土地の価格の目安はAI査定で先に確認しておくと、測量にかける費用とのつり合いを考えやすくなります。具体的な手続は、土地家屋調査士や司法書士にご確認ください。

→ 売却にかかる費用の全体像/売却の流れ

7. イエクラベでできること

イエクラベは、仲介で売った場合と買取に出した場合の金額を同時に出します。境界の確定に時間がかかりそうな土地では、仲介の価格と、現状のまま引き取る買取の価格を並べて比べるのがひとつの方法です。

当社は宅地建物取引業者ではありません。売買の媒介または代理は、当社の提携する宅地建物取引業者が行います。AI査定の結果は公開データにもとづく概算であり、売買価格を保証するものではありません。

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よくあるご質問

Q境界確定測量の費用の相場はいくらですか?
A

法令で決まった金額や公的な統計はありません。日本土地家屋調査士会連合会の2025年度アンケートでは、隣地や道路との筆界確認を含む土地地積更正登記の報酬が全国平均441,391円(税抜)でした。宅地180㎡・隣接地6筆といった前提の数字で、実際の費用は土地の条件で大きく変わります。

Q土地を売るとき、境界確定は必ず必要ですか?
A

必ずではありません。登記簿の面積で売る公簿売買なら、測量をせずに売ることもあります。実測売買にする場合、分筆して一部を売る場合、境界があいまいな場合などに必要になります。

Q隣の人が立会いに応じてくれないときはどうすればよいですか?
A

法務局に筆界特定を申請する方法があります。筆界特定登記官が筆界の位置を特定する制度で、名古屋法務局の標準処理期間は9か月です。結果に納得できなければ、筆界確定訴訟を起こすこともできます。

Q測量のために隣の土地に入ってもよいのですか?
A

2023年4月1日施行の改正民法209条で、境界標の調査や境界に関する測量のために、必要な範囲で隣地を使用できることが明確になりました。原則として事前の通知が必要で、住家に立ち入るには居住者の承諾が要ります。

出典:日本土地家屋調査士会連合会「土地家屋調査士 報酬ガイド」(令和8年6月1日現在)/日本土地家屋調査士会連合会「会別報酬額一覧(中部)」令和7年度/日本土地家屋調査士会連合会「ブロック別報酬額一覧」令和7年度/e-Gov法令検索「不動産登記法」第6章 筆界特定/e-Gov法令検索「登記手数料令」第8条/e-Gov法令検索「民法」第209条・第223条・第224条/法務省「筆界特定制度」/法務省 筆界特定制度リーフレット/名古屋法務局「筆界特定制度」/津地方法務局「筆界特定」/岐阜地方法務局「筆界特定制度」/法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」

測量にかける費用とのつり合いを考えるために。土地の価格の目安を確かめられます。

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