売り先行は資金が確実、買い先行は住まいが確実。税の特例は「どちらか一つ」です。
公開 2026年10月18日
住み替えには、今の家を先に売る「売り先行」と、新居を先に買う「買い先行」があります。売り先行は売却代金が確定してから新居を探せるため資金計画が立てやすく、買い先行は仮住まいが要らない代わりに、一時的に二重のローンや残債の返済資金が必要になります。
税金では、今の家の譲渡益に3,000万円の特別控除を使うと、新居の住宅ローン控除は居住年とその前2年・後3年の計6年間使えません。どちらが得かは譲渡益の大きさで決まります。
| 売り先行 | 買い先行 | |
|---|---|---|
| 順番 | 今の家を売ってから新居を買う | 新居を買ってから今の家を売る |
| 資金 | 売却代金が確定してから動ける | 売却代金が未確定のまま新居の資金が必要 |
| 住まい | 引渡しから新居入居まで仮住まいが要ることがある | 仮住まい不要。引っ越しは1回 |
| 売却価格 | 時間をかけて売れる | 期限に追われて値下げしやすい |
| 向く人 | ローン残債が多い、資金に余裕がない | 自己資金に余裕がある、売却を急がない |
売り先行で仮住まいを避けたいときは、売買契約に「引渡し猶予」を付けて決済後しばらく住み続ける方法や、買主の了解を得て引渡し日を遅らせる方法があります。買い先行で今の家のローンが残る場合は、売却代金で完済できる見込みを先に立てる必要があります。残債と売却価格の関係は住宅ローンが残っている場合で解説しています。
※どちらが有利かは、残債の額、自己資金、売りやすさで変わります。先に今の家がいくらで売れるかの目安を出し、残債を引いた額で新居の予算を考えるのが順序です。
今の家を売って利益が出た場合、居住用財産の3,000万円特別控除で税額をゼロにできることがあります(国税庁 No.3302)。一方、新居を住宅ローンで買うと住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)が使えます。この2つは同時には使えません。
国税庁は、住宅ローン控除について、居住の用に供した年とその前2年・後3年の計6年間に3,000万円控除などの居住用財産の譲渡特例を受けていると適用できない、としています(令和2年4月1日以後の譲渡。国税庁 No.1213)。
| 新居に入居した年を基準に | 3,000万円控除を使った場合 |
|---|---|
| 入居年の前々年・前年・入居年に今の家を売って控除 | 住宅ローン控除は不可 |
| 入居年の翌年〜3年目に今の家を売って控除 | 住宅ローン控除は不可(受けた控除は遡って修正) |
| 入居年の4年目以降に売却 | 両方使える |
例外として、相続した空き家の3,000万円控除(措法35条3項)を適用した場合は、この制限から除かれます(同 No.1213)。
どちらを選ぶかは、譲渡益にかかる税額と、住宅ローン控除で戻る額の比較です。譲渡益が小さいなら3,000万円控除を使わず税を払い、住宅ローン控除を取るほうが有利なことがあります。税額の目安は譲渡所得税シミュレーターで計算できます。
出典:国税庁 タックスアンサー No.1213 認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)/国税庁 タックスアンサー No.3302 マイホームを売ったときの特例
譲渡益が大きく、3,000万円控除では収まらない場合に検討するのが「特定のマイホームを買い換えたときの特例」です。譲渡益への課税を、新居を将来売るときまで繰り延べます。非課税になるわけではありません(国税庁 No.3355)。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 売却期限 | 令和9年(2027年)12月31日まで |
| 売却代金 | 1億円以下 |
| 居住期間・所有期間 | 居住10年以上、かつ売った年の1月1日で家屋・敷地とも所有10年超 |
| 新居の取得 | 売った年の前年から翌年までの3年間に取得 |
| 新居の広さ | 建物の床面積50㎡以上、土地500㎡以下 |
| 新居への入居 | 売った年またはその前年に取得なら翌年12月31日まで。翌年に取得なら取得年の翌年12月31日まで |
| 中古の新居 | 取得日以前25年以内の建築、または一定の耐震基準 |
| 併用 | 3,000万円控除、軽減税率、譲渡損失の特例とは併用不可。売った年・前年・前々年に適用なし |
国税庁の例:1,000万円で買った家を5,000万円で売り、7,000万円の家に買い換えた場合、通常なら譲渡益4,000万円が売却年に課税されますが、特例を使うと売却年の課税はなく、将来その新居を8,000万円で売ったときに「1,000万円+繰り延べた4,000万円=5,000万円」が課税されます。
この特例を使うと、新居の住宅ローン控除も使えません(居住年とその前年・前々年に適用した場合)。将来の売却まで見通して選ぶ必要があり、税理士への相談をおすすめします。
住み替えの計画は「今の家がいくらで売れるか」から始まります。イエクラベのAI査定は、仲介で売った場合と買取に出した場合の金額を同時に出すので、売り先行で時間をかける場合と、買取で期日を確定させる場合の資金計画を並べて考えられます。
当社は宅地建物取引業者ではありません。売買の媒介または代理は、当社の提携する宅地建物取引業者が行います。AI査定の結果は公開データにもとづく概算であり、売買価格を保証するものではありません。
Q売り先行と買い先行、どちらがよいですか?
資金に余裕がなく、ローン残債が多いなら売り先行です。売却代金が確定してから新居を探せます。自己資金に余裕があり仮住まいを避けたいなら買い先行ですが、売却を急いで値下げしやすい点に注意が必要です。
Q3,000万円控除と住宅ローン控除は両方使えますか?
使えません。新居に住み始めた年とその前2年・後3年の計6年間に3,000万円控除を受けると、住宅ローン控除は適用されません(国税庁 No.1213)。譲渡益にかかる税額と住宅ローン控除で戻る額を比べて選びます。
Q買換え特例を使うと税金はゼロになりますか?
なりません。課税が将来に繰り延べられるだけです。新居を売るときに、繰り延べた譲渡益がまとめて課税されます。令和9年12月31日までの売却、売却代金1億円以下、居住10年以上などの要件があります(国税庁 No.3355)。
Qローンが残っていても住み替えできますか?
できます。売却代金で残債を完済して抵当権を外すのが基本です。売却価格が残債を下回る場合は不足分の自己資金が必要で、用意できなければ住み替えは難しくなります。まず売却価格の目安を出し、残債と比べてください。
出典:国税庁 タックスアンサー No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例/国税庁 タックスアンサー No.1213 認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)/国税庁 タックスアンサー No.3302 マイホームを売ったときの特例
住み替えの計画は、今の家の売却価格から。仲介と買取、2つの価格を先に確かめられます。
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