古家付き・更地・買取の違いと、解体前に確認したいことをまとめました。
公開 2026年10月15日
空き家は「解体してから売るほうが得」とは一概に言えません。更地にすると、翌年度から土地の固定資産税の住宅用地特例が外れます。再建築不可の土地や市街化調整区域では、解体したあと新しく建てられなくなるおそれもあります。
解体費用の相場をまとめた公的な統計は見当たりません。古家付きのまま売る、解体して売る、買取に出す。3つの手取りを比べてから決めるのが順番です。
| 古家付き土地で売る | 解体して更地で売る | 買取に出す | |
|---|---|---|---|
| 解体費用 | 売主は払わない(壊すかどうかは買主が判断) | 売主が先に払う | 契約条件しだい |
| 土地の固定資産税 | 住宅用地特例が続く | 解体後の1月1日以降、特例が外れる | 引渡しまで特例が続く |
| 買主の見え方 | 建物を使うか壊すか、買主が選べる | 建てる計画を立てやすい | 不動産会社が買主 |
| 売主の手間 | 建物の状態の説明が必要 | 解体業者の手配・滅失登記 | 少ない |
| 注意点 | 建物の不具合をどう扱うか契約で決める | 再建築不可・調整区域では建てられなくなるおそれ | 価格は会社の再販計画しだい |
| 向く物件 | 建物にまだ使い道がある、解体費をかけたくない | 新築用の土地として探す人がいるエリア | 早く手放したい、遠方で管理できない |
どれが高く売れるかを比べた公的な統計はありません。物件ごとに、解体費用・税金・売れるまでの期間を差し引いて比べることになります。仲介と買取の金額の違いは仲介と買取の違いで詳しく説明しています。
人が住むための家が建っている土地(住宅用地)は、固定資産税と都市計画税の課税標準を下げる特例があります(地方税法349条の3の2、702条の3)。
| 区分 | 固定資産税の課税標準 | 都市計画税の課税標準 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(住戸1戸あたり200㎡以下の部分) | 価格の6分の1 | 価格の3分の1 |
| 一般住宅用地(200㎡を超える部分) | 価格の3分の1 | 価格の3分の2 |
一般住宅用地の特例は、家屋の床面積の10倍までの部分が対象です(総務省「固定資産税の概要」)。
建物を解体すると、その土地は住宅用地ではなくなります。この特例が使えなくなる、ということです。
いつから上がるかは「1月1日」で決まる
固定資産税の賦課期日は、その年度の初日が属する年の1月1日です(地方税法359条)。1月1日の時点で家が建っていれば、その年度は住宅用地として課税されます。たとえば12月に解体して翌年1月1日に更地なら、翌年度の土地の税は特例なしで計算されます。売る時期が決まっているなら、解体の時期と1月1日の関係を先に確認しておきましょう。
建物がなくなるので、建物分の固定資産税はかからなくなります。土地の税額がどれだけ増えるかは土地ごとに違うため、市町村の課税明細書で確かめてください。
※家を残していても、空家等対策特別措置法にもとづき「特定空家等」「管理不全空家等」として勧告を受けると、住宅用地特例の対象から外れます(地方税法349条の3の2第1項)。→ 空き家の固定資産税
空き家の解体費用の相場を示す公的な統計は、見当たりませんでした。建物の構造・延床面積・前面道路の幅・残置物の量などで変わるため、複数の解体業者から見積もりを取って比べるしかありません。
法律で決まっている手続きはあります。床面積の合計が80㎡以上の建物を解体する工事は、建設リサイクル法の対象です(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律9条、同施行令2条)。分別解体が義務になり、発注者(解体を頼む人)は工事に着手する日の7日前までに都道府県知事へ届け出なければなりません(同法10条1項)。
解体の補助金は自治体ごと
補助制度の有無や条件は市町村によって違います。名古屋市の例です。
出典:名古屋市「戸建木造住宅除却助成」(2026年7月23日更新)。9,600円は助成額の算定に使う単価で、解体費用の相場ではありません。
三重県・岐阜県の市町村にも独自の制度がある場合があります。解体業者と契約する前に、建物がある市町村の窓口で確認してください。
建物を取り壊したら、登記簿からその建物を消す「建物滅失登記」が必要です。表題部所有者または所有権の登記名義人は、滅失の日から1か月以内に申請しなければなりません(不動産登記法57条)。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の対象です(同法164条1項)。
更地で売るなら、売却の前に済ませておきたい手続きです。亡くなった親の名義のままの建物を解体する場合は、相続の手続きとあわせて司法書士・土地家屋調査士に確認してください。→ 相続登記の義務化
再建築不可の土地
建物の敷地は、原則として道路に2m以上接していなければなりません(建築基準法43条1項)。この条件を満たさない土地は、今の家を壊すと、同じように新しく建てられないおそれがあります。例外の許可などの扱いは個別の判断です。解体の前に、市町村の建築指導の窓口で確認してください。
市街化調整区域の土地
市街化調整区域では、開発許可を受けた区域以外での建築物の新築や改築に、原則として都道府県知事の許可が必要です(都市計画法43条1項)。更地にしてから「建て替えできない」とわかると、買主の幅がさらに狭くなります。→ 市街化調整区域の土地
こうした土地は、古家付きのまま売る、買取に出す、という選択肢を先に検討する価値があります。まずAI査定で、仲介と買取の金額を並べて見ておくと比べやすくなります。
相続した空き家を売るときは、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例があります(被相続人の居住用財産を売ったときの特例)。主な要件は次のとおりです(国税庁 No.3306、令和8年4月1日現在法令等)。
解体との関係で大事なのは、令和6年1月1日以後の譲渡です。売った時点で家屋が残っていても、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに家屋の全部の取壊し等が行われれば、要件を満たせるようになりました。耐震基準を満たすこととなった場合も同じです。売主が先に解体しなくても、古家付きのまま売り、引渡し後に取り壊す形が取れるということです。
なお、令和6年1月1日以後の譲渡で、家屋と敷地を取得した相続人が3人以上いる場合、控除額は2,000万円までとなります。
細かい要件は相続空き家の3,000万円控除にまとめています。適用できるかどうかの個別判断は、税理士または税務署にご確認ください。
解体するかどうかは、古家付きで売った場合と買取の場合、それぞれの手取りを見てからでも遅くありません。イエクラベは、仲介で売った場合と買取の場合の金額を同時に出します。
当社は宅地建物取引業者ではありません。売買の媒介または代理は、当社の提携する宅地建物取引業者が行います。AI査定の結果は公開データにもとづく概算であり、売買価格を保証するものではありません。
Q更地にすると固定資産税はいつから上がりますか?
解体したあとに迎える1月1日(賦課期日)の時点で更地なら、その年度の土地の固定資産税・都市計画税は住宅用地特例なしで計算されます。1月1日に家が建っていれば、その年度は特例が適用されます。
Q空き家の解体費用の相場はいくらですか?
解体費用の相場をまとめた公的な統計は見当たりません。構造・延床面積・道路の幅・残置物の量などで変わるため、複数の解体業者の見積もりで比べてください。床面積80㎡以上の解体は建設リサイクル法の届出(着工7日前まで)が必要です。
Q解体に補助金は使えますか?
市町村によって制度の有無と条件が違います。名古屋市の戸建木造住宅除却助成は、昭和56年5月31日以前に着工した木造住宅などが対象で、上限20万円です。交付決定の前に工事契約を結ぶと助成を受けられないため、先に窓口で確認してください。
Q建物を解体したら登記は必要ですか?
必要です。建物の滅失の日から1か月以内に建物滅失登記を申請しなければなりません(不動産登記法57条)。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。
Q相続空き家の3,000万円控除を使うには、売る前に解体しないといけませんか?
令和6年1月1日以後の譲渡なら、売った年の翌年2月15日までに家屋の取壊し等が行われれば要件を満たせます。古家付きのまま売る形も取れます。適用の可否は税理士または税務署にご確認ください。
出典:e-Gov法令検索「地方税法」(349条の3の2・359条・702条の3)/総務省「固定資産税の概要」/e-Gov法令検索「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」/名古屋市「戸建木造住宅除却助成」/e-Gov法令検索「不動産登記法」(57条・164条)/e-Gov法令検索「建築基準法」(43条)/e-Gov法令検索「都市計画法」(43条)/国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
解体する前に。古家付きのまま売った場合の、仲介と買取の金額を確かめられます。
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